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スーパー耐久第3戦富士:8時間耐久バトルを3号車ENDLESS ADVAN BMWが制す。62号車のレクサスRC350はデビュー戦でクラス優勝達成

2015年07月06日 10:50  AUTOSPORT web

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総合優勝を飾ったYUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔/元嶋佑弥組の3号車ENDLESS ADVAN BMW
スーパー耐久シリーズ第3戦SUPER TECが富士スピードウェイで7月4、5日に開催。不安定な天候の中、YUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔/元嶋佑弥組の3号車ENDLESS ADVAN BMWが総合優勝を飾り、前戦リタイアの無念を無事晴らすことになった。また、ST-3クラスでは嵯峨宏紀/新田守男/中山雄一/山下健太組の62号車DENSO Le Beausset RC350がデビューウインを達成した。

 全6戦で争われるスーパー耐久シリーズは、前半戦と最後となる富士戦を迎えた。今回のSUPER TECは昨年より1時間増となる8時間耐久レースとして開催。今や国内レースとしては最長となることも影響し、総合トップは目まぐるしく入れ替わった。しかし、前戦のSUGOラウンドのようにアクシデントが多発したからではなく、梅雨時の気まぐれな天候に翻弄されたためだ。

 まずは予選開始直後、勢いを増した雨がグリッド順位を大きく左右した。ポールポジションを獲得したのは、永井宏明/佐々木孝太/佐藤敦/田島剛組の8号車ARN SLS AMG GT3。Aドライバーの永井が天候の急変を予想し、早めにアタックしたことが功を奏し2番手に1秒6もの差をつけていたことが決め手となった。

 決勝のスタート時は小雨が舞う程度ながら、まだ路面が濡れていたこともあって全車がウエットタイヤを装着。ARN SLS AMG GT3の佐々木孝太は好スタートを切り、そのままレースをリードしていく。

 しかし、強くなるはずの雨は逆にやみ、すぐにドライタイヤでも適応できるようになっていく。ここでいち早くタイヤを交換した24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの高星明誠が、有利にレースを進めていく。

 ふたり目の星野敏に代わった後は、再び雨が。ここでも積極的なタイヤ交換がピタリとはまって、さらにリードは広がったものの、霧も出たため3時間目をまたいでセーフティカーが導入される。

 24号車のリードが失われると、このリスタートからの勢いに乗ったのが2番手に浮上していたENDLESS ADVAN BMWのTANIGUCHI。みるみるうちに差を詰め、114周目にはトップに躍り出る。そこから先はピットタイミングの違いで、トップを明け渡すことはあったが、元嶋、峰尾、そして再び元嶋の順でバトンを託し合い、難なく逃げ切りに成功。ENDLESS ADVAN BMWが今季2勝目をマークするとともに、リタイアに終わった第2戦の雪辱を果たした。


「前回のクラッシュで、クルマはほぼ全損にも等しくて、出られるかどうかも分からない状況から、何とかしてくれたチームの皆さんに感謝したいです。実のところ完璧な状態でもなくて、予選での速さはなかったんですけど、その分はドライバー3人、決勝で補おうと……。普段以上に慎重だったのも、かえって良かったのかもしれませんね」と峰尾。

 2位は星野と高星、そして藤井誠暢と佐々木大樹の駆る24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが獲得。白井剛/青木孝行/藤波清斗組の5号車MACH MAKERS GT-Rが3位で、初の表彰台を獲得した。

 ST-2クラスでは、大澤学/松田晃司/吉田寿博/山野哲也組の59号車DAMD MOTUL ED WRX STIが2連勝。序盤こそ、下垣和也/小林且雄/松本武士/伊藤勝一組の20号車RSオガワADVANランサーの先行を許したが、2回目のドライバー交代を同一周回で行い、素早い作業で差を詰めたばかりか、山野が1コーナーで素早く逆転を果たし、そこから先は徐々に差を広げていくことに。終盤、RSオガワADVANランサーにはミッショントラブルも発生し、難なく逃げ切りを果たすこととなった。

「いい仕事ができました」と語る山野は、これが富士のレース初優勝。「GT、S耐はもちろん、シビックレースでもなくて。レースやってきて25年目で初めて」という意外な結果に。

 ST-3クラスでは、予選から植田正幸/阪口良平/堀田誠組の38号車ムータレーシングTWS IS350がスピードで他を圧していた。決勝でも速さを見せつけたものの、些細なことからほころびが……。終盤の接触でフロントバンパーを傷め、それ自体は走行に支障を来さなかったものの、修復を給油中に行ってしまい、ドライビングスルーペナルティを科せられてしまう。これで38号車は4番手に後退し、代わってトップに62号車DENSO Le Beausset RC350が立つ。一時は1分20秒もの遅れを取った38号車は阪口が激しい追い上げで挽回。しかし、ギャップが10秒を切ったところで万策尽きる。そのままゴールすれば、阪口の規定周回を超えてしまうからだ。ドライバーを交代しラスト3周を託すも最終ラップに追突されて、チェッカーを受けることなく無念のリタイアとなった。


 62号車DENSO Le Beausset RC350は、クルマにとっても、チームにとっても、これがS耐でのデビューウィンとなった。徹底した燃費走行が功を奏したものの、新田が「最終ラップのセクター3で、ガクンと来た」というから、あと1周あったらどうなっていたことだろうか……。「ペース的に違い過ぎるので、コース上では戦えなかったから、チームの総力を結集して、こういう結果になったのはすごく嬉しい」と嵯峨。

 富士戦にスポット参戦したST-1クラスの51号車DIAMANGO BMW Z4(坂本祐也/池田大祐/石原将光/余郷敦)。1台だけのエントリーとなったが、総合10位で3年越しの目標だった完走を無事果たすこととなった。
 
 ST-4クラスでは、藤田竜樹/吉本晶哉/石川京侍/寺西玲央組の40号車車買い取りHERO’S×TRACY SPORTS S2000が、レースの大半を支配。予選でトップだった勢いを決勝でも保ったばかりか、SCランのポジショニングにも恵まれ、大量のリードを築き上げていた。しかし、最後のピットストップで給油中にエンジンをかけてしまい、ドライビングスルーペナルティを科せられることに。それでも寺西はトップを守ったが、95号車孚海國際×SPOON S2000の松井猛敏がすぐ背後まで迫る。ゴール間際まで続いた激しい攻防の末、松井が逆転成功。中島保典と黒澤琢弥とともに、久々の優勝を喜ぶことになった。

 特に黒澤は「最後すごかったね、大逆転で! それにしてもいつ以来なんだろう、俺の優勝」と。おそらく2005年のS耐第7戦SUGO以来、池田大祐とともにアルテッツァをドライブした時が最後のはずだ。

 大野尊久/井入宏之/梅本淳一/チャールズ・カキン組の69号車、古宮正信/奥村浩一/新垣元/西田公也組の19号車、2台のBRP☆J’S RACINGフィットによってシーソゲームが繰り広げられたのがST-5クラス。死闘の末に、大野組の69号車が開幕戦以来の勝利を挙げた。「井入選手がしっかり流れを作ってくれたのと、僕ら全員が最後まで全開でいけるクルマを作ってくれたチームのおかげ」と大野はしみじみと語っていた。

 第4戦は、8月1、2日にオートポリスで3時間の耐久レースが開催される。