日本で「イクメン」という言葉が定着してきたように、世界で育児に参加する父親が増えています。父親の子育て参加に関する2本のブログ記事が米Psych Centralに載っています。
1つめの記事は、スウェーデンの研究者の報告をRick Nauert博士が紹介したもの。父親が積極的に子育てをすることにより、子どもの問題行動を減らすなどの傾向があるというものです。(文:パッタナカーン山崎)
「将来貧困に陥る可能性が低い」という結果も
この報告は1987年から2007年までの20年間に米国、英国、スウェーデン、イスラエルで行われた2万2300人を対象に行われた研究によるもの。父親との関係が良好な子どもは犯罪行為や問題行動が少なく、学力も高く良い友人関係が築けるのだそうです。
特に社会的経済的に恵まれていない家庭では、その影響は大きいとのこと。16歳の時点で父親と良好な関係を保っていた女性は、33歳時点においてパートナーとの関係もよく、心身ともに健康で充実していることが分かりました。
2つめの記事はMarie Hartwell-Walker博士のブログで、父親が積極的に子育てに参加した場合は子どもの言語能力が高く、学力も高いという調査結果に言及しています。
女の子は10代で妊娠する確率が低く、男の子も犯罪を犯す確率が低いとか。一方、父親とよい関係が築けなかった少女の10代での妊娠の確率は、2倍にものぼるそうです。さらに父親が積極的に子育てした家庭の子どもは、将来貧困に陥る可能性が低いという結果も出ています。
この記事では、父親がすべきことを次のように述べています。――まず、子どもの母親を愛しましょう。もし、もう愛し合っておらず一緒に暮らせないとしても、自分たちの感情は抑えて子どもの幸福を優先しましょう。いがみ合った夫婦でも立派な親にはなれるのです。お互いにチャンスをあげましょう。子どもを争い事に巻き込んではいけません。
コンピュータやテレビなどの自分の関心ごとは二の次にして、子どもと一緒に過ごしましょう。子どもの話を聞いて、友達にも会いましょう。子どもは、自分の考えや行動を父親が気にしているかどうかを知りたがるものです。
子どもと2人きりの時間を持つことも大切
さらに記事は、こう続けています。――子ども全員と一緒に過ごす時間だけでなく、一人ひとりの子どもと2人きりの時間を持ちましょう。子どもはそれぞれに自分のことを知ってほしいと思っています。子どもと楽しく遊べば、母親とは違う遊び方ができるはずです。冒険のようなワクワクするような体験を。
それから勉強、スポーツ、芸術を支援しましょう。学校での様子を聞いて褒めてあげてください。必要なら手伝ってあげて。保護者会や学校行事に参加し、子どもの活動を見届けましょう。努力したことや関心をもったことを褒めてあげるのです。こういったことを子どもは決して忘れず、自分の子どもたちにもそのことを話すでしょう。
悪いことには、きちんと対処するように。子どもは関心や愛情と同様に、納得できるルールを示してくれる親を必要としています。反抗したり文句を言ったりするかもしれません。しかし社会にうまく適応している子どもの親は、自らが見本となって、子どもに自律の大切さを教えています――。
Rick Nauert博士も、政府や企業がもっと父親が育児参加できる環境を整えるべきだと言っています。そうすることによって、社会にうまく適応できる子どもが増え、犯罪や反社会的行為が減り、持続可能な社会を形成することができるのです。
(参照)Active Father-Figure Helps Kids / Fathers Are Not Inferior Parents(PsychCentral)
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