トップへ

期待の若手バンド・Suchmosの“2つの強み”とは? 新アルバムとライブパフォーマンスから分析

2015年07月04日 17:11  リアルサウンド

リアルサウンド

Suchmos

 Suchmosが、7月8日に1stフルアルバム『THE BAY』をリリースする。


 同バンドは、神奈川は横浜、茅ヶ崎出身の5人組+サポート1名で構成され、ヒップホップ・フュージョン・A.O.R.・などのエッセンスを取り入れつつ、ロック・ソウルを軸としたグルーヴィーなバンド・サウンドを展開。


 ディアンジェロとジャミロクワイ、そしてJ・ディラをフェイバリットアーティストに挙げる彼らは、2013年に結成。上記のアーティストに共通するグルーヴを会得するため、スタジオで練習をじっくりと行いつつ、スケートボードでコミュニケーションを取るなどして、連帯感を強めていったという。バンドはその後、都内のライブハウスを中心に活動し、めきめきと力を付けたのち、2014年の『FUJI ROCK FESTIVAL '14』でブレイクの片鱗を見せた。同フェスで「ROOKIE A GO-GO」2日目のトリを務めたSuchmosは、高い演奏力と苗場の夜にピッタリのメロウなグルーヴで観客の心を奪い、一気にインディーシーン内で要注目のバンドに躍り出た。


 今回は、そんななかでリリースされる最新作『THE BAY』を紐解いていきたい。


 同作を耳を傾けると、バンドには二つの強みが存在することが分かる。ひとつは、ボーカル・YONCEのアグレッシブなリリックと、バンドサウンドがメロウに同居していること。歌詞は<戦争は儲かるか? 平和はゴミか?>と世の中への風刺的なものや<cityなんかよりtownだろ>(「Pacific」)といったシーンを揶揄するフレーズなど、クールに自分たちの立ち位置を示している。ここにバンドがグッドメロディと強靭なグルーヴをセッション形式で加え、独特の色艶を持った楽曲群が完成した。


 もうひとつの強みは、12曲中4曲に携わるベーシスト・HSUの存在だ。彼は両親がジャズやディープな音楽を好み、原体験から深い音楽に関わってきたことや、ジャコ・パストリアスに憧れていたこと、元ギタリストという来歴を聞いて「なるほど」と膝を打つような、動きのあるプレイが特徴のベーシスト。アルバムでは前半の「GAGA」「Miree」といったキャッチーなライブ定番曲を作詞作曲しているが、12曲を通して聴いたとき、改めてSuchmosの楽曲群において、ひときわ飛距離のあるメロディを生み出す彼の大きさを感じる。


 と、ここまでSuchmosに焦点を当ててきたが、もちろん、現在のインディーシーンには彼らと同時代的にブレイクの兆しを見せるバンドが多数存在する。それも、サポートキーボードとしてSuchmosを支える櫻打泰平が所属する、平成生まれのヒップホップチーム・SANABAGUNや、名門RALLYE LABELから8月にアルバムをリリース予定のLUCKY TAPES、既出の『EYESCREAM』企画の発案者である小袋成彬率いるR&Bデュオ・N.O.R.Kなど、枚挙に暇がない。


 そんな中、Suchmosは今回、初のフルアルバムをリリースする。そして9月10日には東京:渋谷WWWでそのリリース記念パーティー「Suchmos THE BAY」の開催も決定し、GUESTにKIMONOSを迎えることを発表した。


 また夏には、『SWEET LOVE SHOWER 2015』への出演が決定。これまでとは全く違った毛色の舞台で、彼らはどのようなパフォーマンスを見せ、界隈から頭一つ抜け出るのか、楽しみにその時を待ちたい。(中村拓海)