7月1日から政府が推進している「ゆう活」。国家公務員22万人を対象に、8月末までの間、出勤時間を1~2時間前倒しするというもので、残業を減らして夕方のプライベート時間を充実させることを目的としている。
最近は民間企業でも早出出勤をする「朝型勤務」を取り入れるところが出てきている。しかしこの流れに対し、「ニート株式会社」の立ち上げなどで知られる慶應義塾大学特任助教の若新雄純氏が異を唱えた。
日本人は「フロントきっちり、リアがルーズ」
若新氏は7月2日放送の情報番組「モーニングCROSS」(東京MX)に出演。元々午前中は仕事をしないという若新氏は「なぜ朝早くしようとするのか」と疑問を呈す。
中央省庁で働いている公務員は、朝7時登庁と言われても絶対に守る。しかしそれは、時間にきっちりしているのではなく「遅れない、終われない」という日本人の特性ゆえだとする。
「遅刻はしないけど、時間できっかり終わることができない。フロントきっちりで、リアがルーズ」
ゆう活は、早めに仕事を終えて仕事以外の時間を大事することが目的だが、日本人はその特性ゆえに「早く仕事を始めても早く帰ることはできない」というのだ。
「受験でも何でも、最後まで粘ったもん勝ち。戦わなきゃいけない世界で、僕らは先に帰るということに馴染んでいない」
さらに朝早く仕事をすることは脳の特性的にもよくないという。朝は頭がスッキリしているので勉強や読書などインプットの時間としては適しているが、クリエイティブな仕事には向かないというのだ。
クリエイティブな仕事は「午後の方が捗る」と主張
夕方になるとテンションが上がることがあるが、若新氏によると、それは一日の後半戦に入り疲労感が出てくると、エネルギーを補うために脳の中の動物的な部分が活発化しだすから。そのため動物的で直感的なクリエイティブな仕事は、午前ではなく午後の方が捗るのだという。
「特に今の日本の社会で、やらないといけない複雑で多様な仕事は、朝に冷静でいるときだけでは処理できない。夕方からテンションが上がってくる時間を、逆に大事にした方がいい」
霞が関の国家公務員も、朝7時から働いたところで夕方から会議が盛り上がれば帰ることはできないと見る。さらに今後は機械に置き換えることのできない直感的な仕事がより重要になってくると指摘した。
そこで若新氏が提唱するのが「フリーAM」という働き方だ。残業禁止ではなく、むしろ午前中に仕事をすることを禁止にし、「後ろをダラダラ」にするというもので、これなら「遅れないけど終われない」公務員にもぴったりだという。
視聴者も「出版社では午後出が多い」と賛同
自由になった午前の時間は、ゆっくり子どもの様子を見て学校に送り出したり、読書や勉強などのインプットの時間に充てたりすればいい、とする。
「省庁の人たちは禁止と言われたらやらないはずだけど、残業の禁止は凄く難しい。それなら午前中は行っちゃダメにして、スタートを遅らせれば、そっから後はガーッといける。将来、フリーAMの時代が来れば、若新が10年以上先取りしてたということで、カリスマになれますね」
従来の常識からするとかなり突飛な考え方ではあるが、ネットではおおむね好評のようだ。ツイッターでは視聴者から、クリエイティブな仕事が求められる出版社では「午後出が多い」という指摘や、「自分は10時出社をまわりに提案してたけど、午前中は休みってくらい思い切った方が成功しそうだな」という声も寄せられていた。
あわせてよみたい:霞が関「ゆう活」の完全実施が早くも危機に?