スーパーGTとドイツツーリングカー選手権(DTM)は2017年に完全統一規則を導入するが、統一規則ではDTM側が現行マシンからのダウンフォース削減を希望していることが明らかになった。
17年の統一規則導入のため、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイション(GTA)とDTMを主催するITR、DTMに参戦しているアウディ、BMW、メルセデス・ベンツは週に1度ミーティングを開催し、スーパーGTに参戦しているレクサス、ホンダ、ニッサンには月に1度ブリーフィングが行われている。現在は、スピードとコストを抑えるために、ダウンフォースレベルの削減に関する議論が行われている。
DTMでテクニカル・チーフを務めるミハエル・バーナードは「今のマシンは速すぎる。だから、少しダウンフォースを減らしたい。また、ダウンフォースを減らすことでランニングコストを下げることもできる」とコメントしている。
「今のDTMマシンのコーナリングは奇妙なものに見える。まるで、コーナーが存在していないかのように全開で駆け抜けていくからね」
「DTMマシンは100km走行しても問題がない強度で作られている。しかし、レースが終わる頃には、多くのパーツが壊れてしまう。そのため、当初の想定よりランニングコストが掛かってしまっている」
「ライドハイトを上げてコーナリングスピードを落とそうと考えている。そのほかにも、ランニングコストを下げる手段がないか検討を行っている」
この統一レギュレーションの初版を8月末までに策定するべく、協議が行われているという。バーナードは、統一規則で導入される2リッター、4気筒ターボエンジンに関する議論は終了しており現在スーパーGTで使用されているものを継承、新しいモノコックに関する議論も9割近く合意に至っていることを明かした。
「スーパーGTでは、すでに2リッターの直列4気筒ターボエンジンが導入されているため、彼らがもっているノウハウの多くを参考にした」とバーナード。
「現在のDTMレギュレーションはスーパーGTと比べ、エンジンに関する規制が強くなっている。コスト削減に繋がり、また我々のエンジンエンジニアが不利益はないと判断したからだ。今後も、さらに規制は強化されていくだろう」
「GTAは、エンジニアに自由な開発を促したいという信念をもっている。特に環境分野に関してはね。我々も環境問題に取り組んでいく必要があることは認識している。しかしモータースポーツでは、環境分野の開発をオープンにしていると費用が掛かりすぎてしまうんだ」
DTM側は以上のように述べているが、GTA側としてはダウンフォースレベルに関しては安全性からの視点で了承するものの、ラップタイムや最高速は現状をキープしたい意向。空力面、そしてエンジン出力の点でどのレベルで合意するのか、これからも各担当のワーキンググループで話し合われていくことになる。