「4年制大学で、中学生レベルの国語や算数を学ばせるとは何事だ!」
中堅よりやや下という位置づけのとある大学で、就職課の職員さんが最近受けたクレームの一つです。4年生大学とはいえ中堅より下になると、基礎学力が危ない学生は非常に多いのが現在の大学の現状です。
エントリーシートや履歴書の文章を読んでいても、おかしな日本語をよく見かけますし、SPIなどのテスト結果も惨憺たるものです。就職課としては「基礎学力からなんとかしないといけない」ということで、計算や文章の基礎訓練を考えていたのです。(文:河合浩司)
大規模な合同説明会には、親らしき人の姿もちらほら…
その大学でも、いきなりSPIを解かせても手も足もでないほど基礎学力の足りない学生が多いのが現実でした。そもそも入学時点の選考の問題もありますが、そんな言い訳をしていても始まらず、なんとかしようと思って考えた指導が基礎学力の補強だったのです。
元はといえば、読み書き・そろばんすら危ないレベルにしか教育ができていない親や学生本人が悪いと思うのですが、なぜか大学にクレームを言ってくるのです。中堅下位校に一体何を求めているのでしょうね。
クレームの矛先は大学に限りません。大規模な合同説明会になると、親らしき人の姿を見かけることがあります。企業に対して、なぜか熱心に質問をする人も稀におられます。
実際、単独の会社説明会に母親同伴で来られたこともあります。学生さんは決して明らかに悪いという人ではなかったのですが、母親からたくさんの厳しい質問をいただきました。質問内容が厳しいこと自体はいいのですが、それは学生の口から言うべきでしょう。
その学生さんを入社させると、もれなくあの母親ともこれからも関わることになります。トラブルのリスクを抱えることは明白なので、差しさわりのない一般的な面接を一次選考にして、不合格としました。
「あんたが子離れしないからですよ」とは言えず
不合格通知を発送すると、母親から直々に電話がかかってきました。
「どうしてうちの息子が不合格なのですか? 理由を教えなさい」
さすがに「あんたが子離れしないからですよ」とは言えず、言い訳を考えるのに苦労しました。大学の就職課の職員さんにとっても、一番の悩みの種は親の対応だそうです。それが徐々に採用担当者にも降りかかりつつある現状に恐怖を感じます。
もしこの記事を読んで、自分が子どもに関わり過ぎではないかとか感じた親御さんがいたら、自立のために本人に任せてあげてください。親の過干渉を受けている学生さんは、この記事を親御さんに紹介してあげてください。明らかにお互いのためになりませんよ。
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