FIA会長ジャン・トッドは、F1が現在使用しているパワーユニットには批判も多いが、これを採用したのは正しい決断であり、今後も維持するべきであると語った。
2014年からF1には1.6リッターV6ターボのパワーユニットが導入された結果、これまでと比べてサウンドに魅力がないとの批判がファンなどから持ち上がった。また、1レースあたり100kgという燃料量制限、100kg/hの燃料流量制限に対しても不満の声がある。
しかしトッドは、F1関係者全員が今のPUのテクノロジーの質の高さをもっとうまく伝えるべきであって、エンジンを変えるべきではないと述べた。
「『今のエンジンを廃止するよう指示すべきだ』と誰かが言ったとしても、それには同意できない」とトッド。
「確かに費用がかかりすぎるという点は認める。だがこのエンジンを採用したのは正しいことだった」
「最初の提案は4気筒にするというものだった。私もこれを受け入れたが、大騒ぎになり『4気筒になどしてほしくない』という声が上がった」
「だがル・マンで勝ったのは誰だ? ポルシェだ。そのポルシェが使っているエンジンは? 4気筒ではないか」
「だがポルシェが優れたブランドではないとか、スポーツブランドとはいえないなどと言う者はいない」
「我々はこういったことをもっとはっきりと伝えていくべきだろう」
「FIAの人々、私自身、競技者、メディア、すべてが伝える責任を担っている」
「モータースポーツはチームだけで成り立っているのではない。こういったすべての人々で成り立っているのであり、全員が一丸となって取り組みを行うべきだ」
今のF1では決勝中に燃費を気にして走る必要があり、それも批判の的になっている。ドライバーからも不満の声が出ているが、その一部は単に自分がいい成績を収めることができずにいるために規則を批判しているだけであり、そういった意見は慎重に受け止めるべきであると、トッドは言う。
「『燃費、ブレーキ、タイヤを気にしなければならないレースなど好きではない』と誰もが言っている」
「だが私がF1チームのボスになった1993年にも、ブレーキ、タイヤウエア、燃費の問題は存在した。だからこれは新しい問題ではない」
「だからといってこういった問題を無視すべきだと言えるだろうか。検討した結果、『燃料を5kg増やそう』という結論に至るなら、私はそれでも構わない」
「だが低迷しているドライバーたちに意見を聞けば、満足しているとは言わない。今の段階ではそこに注意すべきだ。よく話を聞いてみると、そのドライバーは単に自分が勝てないから不満に思っているだけかもしれないのだ」