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インディカー第11戦フォンタナ:琢磨が快走を見せるも終盤にクラッシュ。レイホールが2008年以来の復活勝利を挙げる

2015年06月28日 13:40  AUTOSPORT web

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インディカー・シリーズ第11戦フォンタナ/500マイルのレースは、3ワイドバトルが何度も起こるスリリングな展開に
カリフォルニア州フォンタナにあるオート・クラブ・スピードウェイで開催されているベライゾン・インディカー・シリーズ第11戦。27日に行われた500マイルの決勝レースは、グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)が2008年以来の勝利を飾った。佐藤琢磨(AJフォイト)は、トップ争いを展開するもレース終盤にウィル・パワー(チーム・ペンスキー)と接触しリタイアとなった。

 2011年までのパックレーシングが復活していた。「2011年のレベルには達していない」という声もあったが、インディカー・シリーズの新記録となる 80回ものリードチェンジが14人のドライバーたちによって実現されたのは、インディカーが許可したダウンフォース量が大きく、マシンが高過ぎるグリップを手にしていたためだ。高いダウンフォースレベルではホンダとシボレーの実力が拮抗し、優勝を狙えるコンテンダーの数としては、フォンタナではホンダの方が少し多くなっていた。

 ホンダ勢の中からはマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)、ライアン・ブリスコ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、佐藤琢磨、グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、カルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)がトップ争いを行った。そして、レイホールが勝者となり、アンドレッティが3位でゴール。彼らの間の2位となったのはトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)。シボレー勢で最後の最後まで優勝を争ったのは彼ひとりだった。

 琢磨とブリスコは終盤土壇場でアクシデントを喫した。彼らふたりにも優勝の可能性は十分過ぎるほどにあった。ホンダは今シーズン3勝目。シボレーとのガチンコ勝負を制しての優勝だ。

 レイホールにとっては2008年の開幕戦セント・ピーターズバーグ以来となる勝利。これは124戦ぶりで、インディカー・シリーズ史上最長記録だ。今日の勝利はグラハムにとって特別だ。父ボビーのチームで記録する初めての勝利だからだ。


 レイホールは19番手スタートだったが、レースが始まると着々とポジションを上げ、レースがもう折り返し点を過ぎてから初めてトップに立った。そこからの彼はトップグループに残り続けた。

 レース終盤、もうゴールまで10周を切ってから琢磨とパワーのアクシデントが発生し、赤旗が出された。それが解除され、レースはゴールまで4周でリスタートが切られた。レースが再開される直前のイエローラップ中に何人かのドライバーたちはピットに向い、 フレッシュタイヤにスイッチ。そこでグリーンフラッグは振られ、レイホールはコース上に残ったカナーンと優勝を賭けたバトルを展開した。

 フレッシュラバーを装着した面々の中から、アンドレッティがカナーンとレイホールのトップ争いへと追いついた。しかし、レイホールはトップを死守。すると249周目に入るメインストレート上でブリスコとライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が絡んだ。ブリスコのマシンはインフィールドの芝生の上を回転し、凄まじいアクシデントとなった。レースにはイエローフラッグが出され、そのままイエローとチェッカーフラッグが同時に振られて終了となった。

 ポイントリーダーのファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)は手堅く4位でフィニッシュ。ポイント2位につけるパワーがクラッシュしたため、ポイントリードは46点に広がった。

 5位でゴールしたのはルーキーのセージ・カラム(チップ・ガナッシ・レーシング)。もちろんキャリアベストとなるリザルトだ。

 優勝したレイホールは、「とても嬉しい。チームにとって最高の一日となった。今日はチームの底力を見せることができたと思う」と語った。

 優勝を逃した琢磨は、「本当に残念。1周遅れを取り戻した後、またトップグループに戻ることができた。コースのどのラインでも走れる最高の仕上がりのマシンになっていた。一時遅れを取った時にも予選のように走って差を取り戻すことができた。最後はトップ5にさえ戻れればチャンスは十分にあると考えていた。そして、その通りにトップ5にいけたので、優勝を狙っていた。ベテランふたりとのバトルで接触、クラッシュとなったのは本当に残念だ」と語っていた。

(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)