フォーミュラE第10戦ロンドンePrixの予選が行われ、e.ダムス・ルノーのセバスチャン・ブエミが圧倒的なタイムでポールポジションを獲得し、チャンピオンシップポイントも3ポイントを加算した。ジェローム・ダンブロジオ(ドラゴン)が2番手。ブエミとタイトルを争うルーカス・ディ・グラッシ(アウディ・アプト)が3番手につけた。ネルソン・ピケJr.(ネクストEV TCR)も4番手タイムを記録したが、予選後審議対象となっている。アムリン・アグリから参戦している山本左近は18番手だった。
フォーミュラEもいよいよ最終ラウンド。6月27日、そして28日の2日間、ロンドン市内のバターシーパークで、ロンドンePrixが行われている。コース幅は非常に狭く、木々が生い茂り、そしてバンピー。今季最大級の難コースと言っても過言ではないだろう。
現地時間の12時から行われた予選。第1組から、チャンピオンを争うディ・グラッシが登場する。先頭でアタックに入ったのは、e.ダムス・ルノーのニコラス・プロスト。プロストは、いきなり1分26秒593という好タイムを記録する。しかし、ディ・グラッシが、ターン3でドリフトばりのコーナリングを見せる渾身のアタックで1分25秒676を記録し奪首。サム・バード(ヴァージン)も1分25秒台に入れてディ・グラッシを追う。ステファン・サラザン(ベンチュリ)もセクター2まで好ペースを維持するが、他のマシンに進路を邪魔されてペースダウン。無線で怒りを表す。
2回目のアタックでプロストが1分25秒258にペースアップ。これでこのグループ首位は確実かと思われたが、直後にディ・グラッシが1分25秒105でトップタイムを更新し、首位へ。その直後、ターン8で今回が初参戦となるファビオ・ライマー(ヴァージン)がクラッシュし、イエローフラッグ掲示。このイエローフラッグの影響でサラザンはまたしてもアタックを妨害される形となってしまい、このグループ4番手で終えてしまう。バードはポールポジションを獲得すれば、決勝以降にチャンピオン獲得の可能性を残していたが、この時点でポールの可能性はなく、タイトル争いから脱落することが決定してしまった。
予選第2グループには、優勝こそないものの速さを見せ続けているジャン-エリック・ベルニュ(アンドレッティ)が登場。今回からアンドレッティのマシンはカラーリングが変わり、オレンジ色に塗られている。また、スーパーGTに参戦中のオリバー・ターベイもネクストEV TCRのマシンをドライブする。
そのターベイが先頭でアタックへ。ベルニュが素晴らしいタイムでセクター1をクリアするが、ターン8で痛恨のオーバーラン。ランオフエリアでマシンを止めてしまう。ターベイは順調にアタックを完了させ、1分25秒952で全体の4番手タイムを記録する。フォーミュラE初参戦ながら、見事な適応力だ。
アタックをやり直したベルニュは、1分25秒182を記録し全体の2番手へ。しかしこのアタックラップは、1回目のアタックと比べるとセクター1が遅かった。ベルニュによれば、最初のアタックの際にはマシンに不具合があったようだ。ターベイもペースアップを果たし、第2グループ終了時点で全体の2番手。ブルーノ・セナ(マヒンドラ)が全体の5番手に入っている。
続いて予選第3グループ。この組には、このレースがフォーミュラE最初のレースとなる山本左近(アムリン・アグリ)や、開幕戦で勝利を逃したニック・ハイドフェルド(ベンチュリ)、ベテランのヤルノ・トゥルーリ(トゥルーリ)らが名を連ねている。
先頭でコースに出ていったのは、ダニエル・アプト(アウディ・アプト)。左近はタイミングを計り、大きく遅れてコースインしている。このグループのアタック1回目は、アプトの1分26秒302が最速。左近は1分27秒728で全体の12番手だ。2回目のアタックではハイドフェルドが全体の8番手にアップし、アプトも9番手に。左近は自身のタイムを伸ばしたものの、13番手がやっとというところだ。一方、最後にアタックを行っていたカルン・チャンドック(マヒンドラ)が最終コーナーアウト側にクラッシュしてしまう。
最終第4グループには、チャンピオンを争うピケJr.とブエミが登場。現在ランキング3位のブエミとすれば、獲得ポイントを少しでも稼ぐため、なんとかポールポジションを獲得し、2ポイントを加算したいところだ。
アタックラップに最初に入っていったのはダンブロジオ。ピケJr.はその後ろにピッタリとついていく。ブエミはピケJr.の後ろだが、大きくスペースを開けた。ピケJr.はさすがにダンブロジオに近づきすぎてしまい、アタックを自重。この動きを見たブエミも、1周待つ選択をする。
そして最初のアタックラップ。ピケJr.のタイムは伸びず、全体の4番手。一方ブエミは、素晴らしいアタック。1分24秒648と、それまでのトップタイムを0.5秒以上更新する圧倒的な最速タイムを記録。もちろんこの時点でトップに立つ。ブエミは最終コーナーでリヤをウォールに擦らせてのアタックだった。
続く2回目のアタックでは、ピケJr.が全体の3番手に上がる。しかし、その直後にダンブロジオがこれを上回って2番手に。ブエミは自身のタイムを更新することはできなかったものの、またも1分25秒1を記録し、これでポールポジションを確定させた。なお、ピケJr.は審議対象となっており、決勝に向けて何らかのペナルティが課せられる可能性がある(後に順位が確定。ピケJr.はおとがめ無しとなった)。
フォーミュラE第10戦ロンドンePrix決勝は、日本時間の今夜24時から行われる。
■フォーミュラE第10戦ロンドンePrix予選結果
1.セバスチャン・ブエミ(e.ダムス・ルノー)1'24''648
2.ジェローム・ダンブロジオ(ドラゴン)1'25''104
3.ルーカス・ディ・グラッシ(アウディ・アプト)1'25''105
4.ネルソン・ピケJr.(ネクストEV TCR)1'25''144
5.ジャン-エリック・ベルニュ(アンドレッティ)1'25''182
6.ニコラス・プロスト(e.ダムス・ルノー)1'25''258
7.オリバー・ターベイ(ネクストEV TCR)1'25''829
8.ブルーノ・セナ(マヒンドラ)1'25''879
9.サム・バード(ヴァージン)1'25''894
10.サルバドール・デュラン(アムリン・アグリ)1'25''964
11.ロイック・デュバル(ドラゴン)1'25''988
12.ニック・ハイドフェルド(ベンチュリ)1'26''128
13.ダニエル・アプト(アウディ・アプト)1'26''302
14.ステファン・サラザン(ベンチュリ)1'26''318
15.ヤルノ・トゥルーリ(トゥルーリ)1'26''852
16.カルン・チャンドック(マヒンドラ)1'27''160
17.シモーナ・デ・シルベストロ(アンドレッティ)1'27''208
18.山本左近(アムリン・アグリ)1'27''456
19.アレックス・フォンタナ(トゥルーリ)1'28''083
20.ファビオ・ライマー(ヴァージン)1'28''152