昨年の9月、最終ラップの最終コーナー、トップを争うニコラス・プロスト(e.ダムス・ルノー)とニック・ハイドフェルド(ベンチュリ)が接触、大クラッシュを起こすという衝撃的な結末の北京ePrixで開幕したフォーミュラE。その第1シーズンも、今週末ついに最終戦を迎える。舞台はイギリスの首都、ロンドン市内にあるバターシーパークで、土曜に第10戦、日曜日に今季最終戦となる第11戦を戦うことになる。
毎回勝者が変わるという、接戦の序盤戦。なんと6戦目までのウイナーが全員異なっていた。しかしその後は上位陣が固定されつつあり、第9戦モスクワePrixが終わった時点でのチャンピオン争いは、実質的にネルソン・ピケJr.(ネクストEV TCR)、ルーカス・ディ・グラッシ(アウディ・アプト)、セバスチャン・ブエミ(e.ダムス・ルノー)の3人絞られた。プロストとジェローム・ダンブロジオ(ドラゴン)にもチャンピオンの可能性が僅かに残っているが、トップのピケJr.とは50点前後離されていて(2戦での最大獲得ポイントは60)、現実的には逆転はまず不可能だろう。
ロンドンePrixのコースは、一見するとコーナーを直線で繋いだ、単純のレイアウトに見える。しかし、実際にはそう簡単なコースではなさそうだ。
まずはコース幅の狭さである。シミュレータを見る限りでは、コース幅は非常に狭く、マシンが2台並ぶと、コースをほとんど塞いでしまうという印象。ファンブーストを使ってオーバーテイクを仕掛けても、ライバルを抜くのはそう簡単ではない。
また、コーナーはいずれもタイト。直角コーナーのように見えるが、いずれのコーナーも90度以上曲がっている印象だ。そして、このコースは実は正確な意味での直線がない。つまり、いずれのコーナーでのブレーキングも、マシンを若干ステアした状態でブレーキングしなければならず、一歩間違えばコンクリートウォールの餌食になってしまう。
さらにターン11~12の間は、大きく左に回り込む、このコース唯一の高速コーナーのような形になっている。高速安定性が求められるのはもちろんだが、ターン11の立ち上がりおよびターン12へのブレーキングゾーン手前に、大きなバンプがある。ここにハンドルを取られてしまうと、またしてもコンクリートウォールに捕まってしまうかもしれない。
つまりロンドンePrixは、単純そうに見えながら、実は非常に奥深そうなコースである。
この難コースを攻略し、初代チャンピオンに輝くのは誰なのか? 開幕戦と第2戦以外は全て10ポイント以上を獲得するなど、安定した成績を記録し続け、2位に17ポイントもの大差をつけてランキングトップをひた走るピケJr.が、初代王者の最有力候補であるのは間違いない。しかし、ディ・グラッシはアウディの、そしてブエミはルノーのワークスチームのマシンを駆る。彼らのチームはエネルギーマネジメントなど、事前のシミュレーション技術に優れていて、逆転に一縷の望みをかける。
また、チャンピオンの可能性を皮一枚で繋げているプロストとダンブロジオはもちろん、第3戦から参戦を開始し、ランキング7位につけるジャン-エリック・ベルニュ(アンドレッティ)や、終盤戦にかけて調子を上げつつあるハイドフェルドらの活躍にも注目したいところだ。
さらに、ロンドンePrixでは、アムリン・アグリのマシンを山本左近がドライブする。左近は2010年のF1韓国GP(HRT)以来の実戦。久々というだけあって、さすがに幾多の困難があることだろうが、本人は「フォーミュラEはクルマだけではなく、様々な電子機器の進歩に繋がる」と語り、自らドライブすることで、日本中にフォーミュラEの魅力をアピールしようとしている。どんなレースを見せてくれるのか、こちらも注視しておきたい。
今回の最終戦では、“ドライバーズカメラ”と名付けられた新サービスも開始される。このサービスは、インターネットを経由して、任意のドライバーのオンボードカメラを、ほぼリアルタイムで見ることができるというモノ。さらには、各マシンの位置がリアルタイムでプロットされるサーキットマップや、詳細なライブタイミングも視聴できるという。しかも無料だというのが嬉しい。詳しくは、テレビ朝日のフォーミュラE公式ページからアクセスすることができる。
フォーミュラE第10戦は日本時間の6月27日(土)24時、最終戦は6月28(日)の24時からである。いずれも、BS朝日で生中継が実施される予定だ。
【テレビ放送予定】
6月27日(土)第10戦
テスト走行:よる6時15分(CSテレ朝チャンネル1)
予選:よる7時45分(CSテレ朝チャンネル1)
決勝:よる11時58分(BS朝日)
6月28日(日)第11戦(最終戦)
テスト走行:よる6時15分(CSテレ朝チャンネル1)
予選:よる7時45分(CSテレ朝チャンネル1)
決勝:よる11時30分(BS朝日)
7月4日(土)
大会ハイライト:深夜3時45分(テレビ朝日系列地上波 ※一部地域を除く)
7月11日(土)
総集編:深夜3時45分(テレビ朝日系列地上波 ※一部地域を除く)