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「保育所は親のおサボリのために存在している訳ではない」 所沢市の「育休退園」にネットで意外な擁護

2015年06月26日 19:40  キャリコネニュース

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大きな話題を呼んでいる埼玉・所沢市の「育休退園」問題。0~2歳児の子どもを保育園に預けている母親が新たに出産して育児休業を取った際、預けている子どもが退園しなければならないという制度だ。

市は今年の4月からの導入を決定していたが、反発した保護者11人が6月25日に退園の差し止めを求める行政訴訟をさいたま地裁に起こした。その一方で、ネットの一部には所沢市の措置を支持する声が多くあがっている。

出産・育児経験者の反応は「これって普通じゃない?」

今回の行政訴訟で、保護者側は「育休は職場復帰の期間であり就労の一形態」「保護者に育休を取得することを委縮させる」などと訴え、全国から100人を超す弁護団も加わった。

この件を報じた朝日新聞の記事には、ツイッターで「救い用の無い愚策…これで待機児童減らしても、本末転倒だと解らないのだろうか」「一旦入園させても育休で退園とか、その後の生活を何だと思ってるんだ??」などと強い批判が出ている。

一方で、市が今回の制度を導入した背景には、入園待ちをしている待機児童を救いたいという趣旨があり、ネットにも出産・育児経験者から賛成する声が意外なほど多い。

キャリコネニュースが6月19日に公開した「所沢市の政策に働くママが大激怒」という記事に対しては、配信先のmixiニュースで3000件以上のコメントが寄せられたが、市の制度に賛成する内容が圧倒的だ。

「育児休業とってるなら保育園に入れる必要ないよね。保育園は働く親が子供を預けるための施設だよ」
「育休取れる親の子より、育休取れない親の子供を優先的に保育園に入れましょうってのが真意じゃないの?もしそうなら普通にまっとうだと思うんだけど」

ある女性は「これって普通じゃない?」といい、「うちも2人目産んだ時、上の子乳児だったから1年間退園したよ」と市の措置は当然とする。別の女性も、第2子出産のときには退園させたと振り返り、退園させたくないのなら「4学年差にしないといけなかった」と語っている。

市の内外からの電話は「賛成」と「反対」がほぼ同数

中には、所沢市の対応を批判する人たちに対して、こんな厳しい書きこみもある。

「モンスター母は怖い。これじゃ保育園なんていくらあっても足りるはずがない」
「幼少時から育児をよそに押し付けるようじゃ将来のモンペ予備軍か」
「保育所は親のおサボリのために存在している訳ではない」

政府は今年4月から「子ども・子育て支援制度」の中で、保育所の入所基準などについて各地方自治体ごとに判断する部分を増やしている。所沢市の保育幼稚園課にキャリコネニュースが取材したところ、担当者は「育休退園」の措置の理由として、

「当市の場合は、待機児童を持つ親からの訴えかけもあったため、育休退園に踏み切りました」

とも話した。同様の制度は神奈川県平塚市などでも導入されており、所沢市も先に実施している自治体を参考にした部分があったという。

保育所に子どもを預けられないため、働きに出られずに経済的に困っている人もいるのだろう。所沢市内外からあった多数の問い合わせの内容も、「賛成意見」と「反対意見」がほぼ同数だったという。

市ではすでに職場復帰時の再入園について「優先的措置を取る」と発表しているが、ネットなどでは「確実に再入園できるのか」と不安があがっていた。この点について担当者は「ほぼ確実に再入園できると考えてもらっていい」と答えた。

騒動の根本にあるのは保育園不足だが、とはいえ少子化の影響で子どもの人口が減っている中で増設する判断はなかなか難しい。この点についても担当者は、市の中では「ハード(施設)の面」での検討を行っていくとのことだった。

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