2015年06月24日 15:31 弁護士ドットコム
「【悲報】だからラブライバーは悪く言われる」。そんなツイートが6月半ば、無残に捨てられたポップコーンの写真とともに投稿されて、話題になった。漫画やアニメで人気の「ラブライブ!」のファン(ラブライバー)がゴミ箱に捨てたらしく、劇場版アニメ「ラブライブ!The School Idol Movie」を上映した映画館で撮影されたとみられる。
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劇場では「ラブライブ!」のイラストが描かれた容器に入ったポップコーンとドリンクのセットが販売されており、購入すると特典のミニクリアファイルとコースターがついてくる。投稿者は、ゴミ箱に投げ捨てられたポップコーンを見て、特典を目当てにドリンクセットを購入したファンが、ポップコーンを食べずに捨てたのではないかと考えたようだ。
以前から、おまけ目当てでお菓子や食品を買って、食べ物を捨ててしまうというケースは、たびたび社会問題となってきた。一般的に、特典目当てで購入した食品を捨てるという行為に、問題はないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
「以前は、ビックリマンチョコのお菓子を捨てて、シールだけ集めるという事例がありましたね。昔からこの種の問題が生じており、社会問題になることもありました。
まずは、モラルの問題として、このようなことはよろしくないと申し上げておきたいと思います」
西口弁護士はこのように述べる。では、法律的にみて、今回のようなケースは問題ないのだろうか。
「さきほども述べたようにモラルの問題であり、法律的に何らの問題もないともいえそうです。
しかしながら、行き過ぎたゴミの捨て方をしたような場合、ケースによっては、映画館などゴミ箱を設置する管理者との関係で、不法行為になる可能性は否定できません。
映画館などの管理者は、大量のごみ投棄行為により余分に人手が必要になったり、見た目が悪くなりお客さんが減少したりしてしまうということも考えられるからです。
ただし、不法行為が成立するというのは、余程の場合だと思います。また、損害賠償が可能としても、『誰を相手に、いくら請求できるのか』という点を確定するのは、困難ではないかと思われます。
どうやら、映画館のゴミ箱にポップコーンを捨てたとしても、法的に問題になるケースはあまり想定できないようだ。しかし、西口弁護士は、場所によってはこうした行為が問題なる可能性があると指摘する。
「昨年、人気声優のライブチケットの応募券つきのポテトチップス1000袋(200kg)を、応募券だけ切り取って雑木林などに捨てた男性が、廃棄物処理法違反容疑で逮捕される事件がありました。
今回のケースでも、景品を全て手に入れようと大量にポップコーンを購入して、道端に投棄するようなことがあれば、不法投棄で刑事処分の対象になる可能性もあるでしょう」
他のラブライブのファンからは、「本当のラブライバーはこんなことしない」「風評被害」という声もあがっている。
「他のファンとの関係で、今回の投げ捨て行為が不法行為にあたるかというと、それは非常に厳しいかと思います。ファンに対する風評被害を、『損害』と考えることは難しいからです。
ファンであるからこそ、モラルに反した行動をしないことが大切です。モラルを守って楽しんで下さい」
西口弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/