2015年06月23日 15:41 弁護士ドットコム
「盗難された自転車を見つけた」。偶然発見した持ち主が、犯人を捕まえるまでの一部始終を実況したツイートが話題となった。
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部品は一部変えられていたが、車体番号が一致したため、投稿者は、自分の自転車と確信。犯人を待ち伏せして、現行犯逮捕するつもりだったようだ。だが、ツイートを見た人からは、「『盗難自転車を持っている』では現行犯ではない」といったアドバイスが寄せられたため、方針を変更。結局、警察を呼んで対処してもらったようだ。
無事に犯人は捕まり、自転車も手元に戻ってきたようだが、もし自分で逮捕していたら、何か問題になっていたのだろうか。投稿者のように、盗難された自分の自転車を外で発見した場合、どのように対処するのが正解なのだろうか。刑事手続きに詳しい本多貞雅弁護士に聞いた。
「結論から言えば、目の前で盗まれたというような場合を除いて、自分の盗まれた自転車を発見したときには、すみやかに警察に連絡して対応してもらうのが無難です」
本多弁護士はこのように述べる。投稿者は、「私の自転車にまさにのってる瞬間は窃盗の紛れもない現行犯だと思ったのですが・・・」とつぶやいていたが、盗んだ人を自分で捕まえてはいけないのだろうか。
「たしかに、『現に罪を行っている者』、または『現に罪を行い終わった者』は、現行犯人として、逮捕状がなくても、誰でも逮捕することができます。
また、盗品を所持していて、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるときも、同様に現行犯逮捕ができます。
さらに、盗まれた被害者であれば、窃盗犯人を現場から追跡して盗まれた物を取り戻すということも自救行為として認められる余地があります」
そうであれば、現行犯逮捕できるシチュエーションは、かなり限定されているのではないか。
「そうです。後日、盗まれた自分の自転車を偶然発見したような場合では、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められませんので、現行犯逮捕することはできません。
その自転車を所持している人が、盗品だと知らずに本当の犯人から譲り受けたなどの可能性を排除できないからです。
それにもかかわらず逮捕してしまった場合には、逮捕監禁罪に問われる可能性もありますし、黙って取り返してしまった場合には、窃盗罪に問われる可能性もあります。
自分の盗まれた自転車を発見したときには、すみやかに警察に連絡して対応してもらいましょう」
本多弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
本多 貞雅(ほんだ・さだまさ)弁護士
東京弁護士会所属。刑事事件、少年事件、外国人の入管事件に精力的に取り組み、法科大学院等では後進の指導にもあたっている。また、保険会社勤務や不動産会社経営の経験を生かし、企業法務にも力を入れている。
事務所名:本多総合法律事務所
事務所URL:http://honda-partners.jp/