2015年06月23日 11:11 弁護士ドットコム
検索サイト大手のグーグルが、「リベンジポルノを検索結果から除外する」という方針を公式ブログで発表し、話題を呼んでいる。ブログは「“Revenge porn” and Search(リベンジポルノと検索)」とのタイトルで、6月19日に投稿されたものだ。
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グーグルは、リベンジポルノについて、元パートナーが、相手を貶めるためにプライベート映像を投稿したり、ハッカーが被害者アカウントから盗んだ画像を拡散したりする場合だと説明した。なかには「セックス脅迫サイト」に画像を掲載され、消してほしかったら、お金を支払えと脅されるケースもあるとしている。
また、「検索は、ウェブ全体を反映するべきだ」というのがグーグルのポリシーだとしつつ、リベンジポルノについては「とても個人的で、感情を傷つけ、被害者(主に女性)の品位を貶めるためだけのものだ」とした。
今後、グーグルは、削除依頼のためのフォームを「数週間以内」に公開し、こうしたリベンジポルノ、つまり「同意を得ずに共有されているヌードや性的に過激な画像」を、検索結果から除外してほしいという要求を受け付けるという。
グーグルによると、これは「あくまで非常に限定されたポリシー」で、「銀行の口座番号や自筆サインなどが検索結果に載ってしまったとき、それらを取り除く場合と同様の扱いをする」ということのようだ。
詳細はまだ不明だが、公式ブログには「すばらしいニュースだ!」といった、発表を歓迎するコメントが数多く寄せられている。専門家の見方はどうだろうか。インターネット情報の削除問題に取り組んでいる神田知宏弁護士に意見を聞いた。
全体的には歓迎すべき方向性だと思います。
グーグルは基本的に「検索結果には手を入れない」というポリシーを持っていますが、今回、それの「例外」として、リベンジポルノが設定されたということは、重大なことだと思います。
また、それをgoogle.comを含め、全世界的に削除するということも、大きいですね。
EUの裁判所で「忘れられる権利」が認められたときには、削除対象がEU圏内だけに限られていました。たとえば、フランスなら「google.fr」の検索結果からは消えても、「google.com」からは消さないという話でした。
今回は、全世界的に削除するということですから、リベンジポルノ被害について、よほど深刻だと考えているのだろうと思います。
被害者がフォームで削除依頼を申し立てることになるようですが、個人的には、グーグル側が被害者の本人確認をどうするのか、「画像のURL」をどう特定するのか、本当に「リベンジ」かどうかをどうやって判断するのだろうか、といった点が気になります。
また、内容面では、彼らが想定する「リベンジポルノ」とはいったいどういうものなのかが重要でしょう。
ひとくちに「ヌードや性的に過激な画像」といっても、何が性的に過激だと考えるかは、文化によっても異なります。
たとえば、水着姿は? 胸は? 乳首は? キスしている写真は・・・?
世界にはさまざまな文化や価値観があり、どこまでが社会的に許容範囲かは、国や地域によって大きく違いますから、線引きが難しいですね。
個人的には、投稿された人が嫌だと考えるものならば、削除を受け付けてもいいとは思いますが。
弁護士として検索結果の削除依頼をしていると、グーグル側はアメリカ(法人)の価値観で反論してきますから、今回についても、そうなるのかもしれません。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
神田 知宏(かんだ・ともひろ)弁護士
フリーライター、IT社長を経て弁護士、弁理士登録。著書としては、インターネット入門書も含めてパソコンソフト入門書が少なくとも70~100タイトル。元、日弁連コンピュータ委員会委員。公式サイトURL:https://kandato.jp
事務所名:小笠原六川国際総合法律事務所
事務所URL:http://www.ogaso.com/