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B'z、大御所らしいシングルでチャート1位に その手堅い手法と音楽性を読む

2015年06月22日 18:01  リアルサウンド

リアルサウンド

B’z『RED【初回限定盤】(DVD付)』(バーミリオンレコード)

参考:2015年6月8日~2015年6月14日のCDアルバム週間ランキング(2015年6月22日付)(ORICON STYLE)


 今週は、いろいろとバラエティ感のある週となりました。しかしそれもやはり何と言っても1位にB'zがいるせいでしょうか。アイドルグループでもなく、いわゆるポップスでもない。大御所の中でもバンドサウンドをやっているものが上位にいると、それだけでちょっと違う気分になるというのもどうかと思いますが。


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 ちなみに2位はAKB48のまゆゆさんでして、超絶不調だったドラマ『戦う!書店ガール』の主題歌となっております。ドラマのほうはネットで実際に書店員として働いていらっしゃる方々からわりと偏執的なツッコミを入れられていてインターネットってなんか怖いとこですねえという感じでしたが、主題歌のほうは全く何のイヤミもなく数字が出るものでして、4.8万枚。渡辺麻友のシングルとしてはもっともよくない成績となりました。


 ドラマ不評のせいだという向きもあるかと思いますが、そもそも渡辺さんは2012年のファーストシングル12万枚を頂点として、売り上げを落とし続けている歌い手なわけでして、前回の2013年のシングルが6.7万枚だった時点でムードとしては「もう……いいよね」というところだったわけです。今回、連続ドラマ初主演という後押しもあったからか、1年半以上のブランクを経て主題歌も出してみたらこの結果でした。


 しかし、そういう渡辺さんの状況は1位のB'zさんからすれば好材料なわけです。B'zといえば、輝かしいシングル連続1位という記録を成し遂げてきた巨星。それは、他に強力なライバルがいない週にシングルを出すという戦略にも支えられてきました。そもそも「シングル連続1位」みたいな記録をインパクトあるものとして印象づけることをやり始めたのもB'zが最初だったように思います。ということは、思えば大御所アーティストのベスト盤攻勢しかり、B'zさんというのは日本の音楽ビジネスに「え、そんな売り方やるんですか」と周囲を驚かせるような革新を起こし続けてきた偉大な存在なのです。まあ最近はやたらとシングルを立て続けに出して売り上げもじゃんじゃん稼いじゃうアイドルがいるせいで、B'zさんの連続1位記録は抜かれてしまいましたけれども。まさかB'zチームとしても、そんなセコいやり方でこの輝かしい記録が世に埋没させられるとは思ってもみなかったことでしょう。


 そんなわけで、B'zとしては逆に肩の力を抜いちゃって、シングルリリースのペースも落ちているように思います。とはいえ、力を抜いても手を抜いているわけではなく、今回のシングルもまずはメジャーリーグから黒田博樹広島東洋カープへと帰還した黒田博樹投手のテーマソングという話題性バッチリの仕掛けがリリースの何ヶ月も前から準備されておりましたし、商品としても1曲入り&DVDにして値段を下げるという、90年代に培われた手法でもって購買欲を高めています。その結果、売り上げは手堅く15.7万枚。前述のようにライバルはまゆゆさんなわけですし、彼女が過去最高の12万枚を売ったとしても、この枚数は超えられませんでした。さすがB'z、伝家の宝刀というところです。


 曲としては最近のB'zの傾向なのか、率直な70年代ロック路線が取られているようです。スタジアムでかかるテーマ曲ということで曲の構成も含めてクライアントサイドの要求に手堅く応えるB'zらしさが出ていると言えましょう。期待感を煽るビート感も同様なのですが、しかしそれでもハードロック/メタル的な派手さなどは控えめで、むしろタイトな印象。こういうところも含めての肩の力の抜けた大御所らしさがあると言ったところでしょうか。(さやわか)