食事やレジャーをひとりきりで楽しむ人が増え、ここ数年「おひとりさま」などと呼ばれてきたが、ついに進化形が現れたようだ。6月22日放送の情報番組「白熱ライブビビット」(TBS)は、「ぼっち族」という言葉を紹介し、ネット上で話題になっている。
電通若者研究部によると、ぼっち族とは「友人・家族・恋人もいるが、あえて1人で楽しみたい人々」のこと。SNSを使うのも特徴で、「ぼっち」同士が共感しあってつながる傾向があるとする。
ひとり焼肉やカラオケを楽しむ人もいるが
番組では、そうした「ぼっち族」向けのサービスを紹介。大学の食堂にできた1人専用の席や、1人カラオケ専門のカラオケ店などが取り上げられた。ひとりで楽しむことができるようにカウンター席が設けられた焼肉店では、女性客がインタビューに応じた。
「周りを気にせず、好きなもの食べられる。ひとりの方が気を遣わなくていい」
別に友達や恋人がいないわけではないが、あえてひとりで自由に楽しむのがぼっち族、ということらしい。この店には、週に2~3回も通う女性客もいるという。
博報堂生活総研によると「1人で夕食をすることに抵抗のない人」は48.9%(2014年)で、ひとりを楽しむ人自体は少なくない様子。ネットでは「ぼっち族」というネーミングが受けたのか、ツイッターを中心に話題になった。ひとりでいても、もう気にする必要はないということで歓迎する人が多いようだ。
「ぼっち族急増中か…ぼっちが生きやすい世の中になってきて嬉しい」
「ぼっち族か。まさに自分もだな。楽だもんね」
「いいね!」もらってる時点でリア充だ
一方で、「ぼっち」という言葉がマーケティング的に軽く使われることに疑問を感じる人も少なからずいるようだ。
「ぼっち族(友人、恋人、家族はいるがあえて1人でいる人達)…ぼっちじゃないと思うんですが…」
「ガチぼっちのウチの前で、ファッションぼっちとか、万死に値する…友達ほしぃ」
本物のぼっちは、ひとりを楽しむのではなく、孤立しているが故に必然的にひとりぼっちになるものだ。ひとりで遊ぶ様子をフェイスブックに投稿して「いいね!」をもらっているぐらいでは、まだまだリア充だろう。
中には、番組でぼっち族としてインタビューを受けている女性が、なぜかみな美人だったことに動揺する人もいた。
「ぼっち族が美人ばっか特集されてて、は?ってなってる」
大久保佳代子「もっと切羽詰まったぼっち族はいる」
こうした点には番組でも疑問が出ていた。コメンテーターとして出演していたタレントの大久保佳代子さん(44)も、ぼっち族は「結局余裕があるじゃないですか」と指摘する。
「家族も恋人もいるけど、あえてひとりになりたいから、あえてこれを選ぶみたいなね。もっと切羽詰まったぼっち族はいるんですよ。(この人たちは)楽しんでるわけでしょ?」
国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、50歳時の未婚率を表した「生涯未婚率」は90年以降右肩上がりで上昇。2010年の調査では男性20.1%、女性10.6%となっている。今後もこの数字は上昇を続けると見られており、そのときこそ「真のぼっち族」が主流になるかも知れない。
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