米国ニューヨークのマンハッタンの南東に位置する「ブルックリン地区」が、いま日本のオシャレな人たちの注目を集めています。この地区には多くの起業家が暮らしていますが、なかでも女性起業家が米国で最も多い地区です。
スタートアップのデータベースCrunchBaseの分析によると、2009年から2014年に創業資金を受給した人において女性が占める割合は、全米平均の15%に対し、ブルックリンでは28%にものぼっています。(文:遠藤由香里)
ボストンのような学閥もない「オープンさ」が魅力
この街の起業ブームは、ここ数年で広がったもの。2013年に誕生したスタートアップは500社あり、ブルックリンのGDPを3億ドル押し上げたといいます。
ブルックリンに起業家が集まり出した理由は、当初は物件の安さ。商業用物件の空室率が高くて賃料が安く、複数の地下鉄が通るなど交通至便。起業志向のあるクリエイティブ層が「住みたい町」として選ぶようになり、コミュニティも形成されました。
記事では複数の女性起業家の声を紹介しています。グアリ・ナンダ氏は以前ボストンで別の会社を経営していましたが、起業家コミュニティは大学と強い結びつきがあったとか。
「ブルックリンはカルチャーが生まれたばかりなので、今ならその一部となれる可能性があると感じます。コミュニティが小さくて、みな協力的なので競争的に感じないんです」
ルクシー・ファンク氏も、この意見に賛同しています。起業家が増える前の1996年に創業。「排除されていると感じる学閥や非公式なネットワークがないんです。アーティステックでクリエイティブ。たくさんのサポートとオープンさがあります」とのことです。
夫より稼ぐ女性も「珍しいことではない」
女性起業家同士の交流も活発です。サスティーパーティーの共同創業者エミリー・ダブレット氏が参加するのは、成功談や失敗談をシェアする集まり。心理的なサポートだけでなく、実用的な気づきを得られるのだとか。
「例えば従業員の解雇の仕方、コンサルタントとの付き合い方、ソーシャルメディア戦略についてなど、アドバイスを聞ける近しいグループがあるのは貴重です。近くに女性起業家仲間がいなかったら、この街をそれほど魅力的には感じなかったでしょうね。自分と同じように格闘している女性たちの姿を見られるのはありがたいことです」
ファンク氏はワーキングウーマンの存在が目立つことは、「自分の道を進んでいいのだ」と女性たちに示す意味で重要だと言います。
「ここは女性が働くことに対して、本当に理解があるんです。子どもを学童保育や学校に置いてくるのも、何の後ろめたさもなしにできますから。子どもの送り迎えをする男性もよく見るし、夫婦共にアーティストというカップルもたくさんいる。女性が働いていたり、経営者だったり、夫より稼いでいたりしても珍しいことではないんです。本当に自由ですね」
トーレス氏は、女性起業家が多いのは市場と人口が若いからだと指摘します。「ブルックリンの女性が他と何が違うのかはっきりしないけれど、市場が生まれたばかりでとてもオープンで、起業することを素晴らしいキャリアパスだと受けとっている女性が増えていると思います」。
(参照)This is the city with the largest percentage of women-led startups(Fortune)
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