2015年F1第8戦オーストリアGPは21日(現地時間)、当地のレッドブルリンクで71周の決勝が行われ、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグが今季3勝目となる通算11回目のトップチェッカーを受けた。
ロズベルグが今季一番の笑顔を浮かべ表彰台の頂点に立った。前日、自らのミスでポールポジションを失ったが、この日のロズベルグは勝利への執念を感じさせる走りでライバルの追い上げを許さなかった。
レースは、オープニングラップで後方のキミ・ライコネンとフェルナンド・アロンソがあわや大惨事というクラッシュを演じて幕を開けるが、注目のスタートでホールショットを奪ったロズベルグがセーフティカー退去後の7周目から後続のハミルトンを徐々に引き離し、序盤の20周目にはその差を2秒以上に広げる。
一方、ロングランペースを武器にメルセデス勢との優勝争いも期待されていた3番手スタートのフェラーリ、セバスチャン・ベッテルはレース序盤から早くも遅れをとり、22周目にはロズベルグとの差が10秒に広がるなど、ベッテルの相手は早くも4番手を走行するフェリペ・マッサに向けられることとなった。
トップを走るロズベルグはその後も安定したペースで周回を重ね、25周目には一時ハミルトンとの差を4.1秒まで開く。だが、上位勢のスーパーソフトにグレイニングの症状が現れ始めると、ロズベルグのペースも鈍り、次第にリードも縮小。するとロズベルグは33周目に、上位勢では一番先にこの日唯一のピットストップに向かうが、なんとしてもトップを死守したいロズベルグはピットロードの入口まで粘ってタイヤをロックさせるなど勝利への執念をみせる。
対するハミルトンは、ロズベルグから2周遅れてピットイン。こちらも予定通りソフトタイヤにスイッチしたが、ここでハミルトンはピット出口の白線をカットするミスを冒してしまい、レーススチュワードから5秒のタイム加算ペナルティの宣告を受け、5秒先を走る首位ロズベルグとの差は実質10秒へと広がってしまう。
これで一気に楽になったロズベルグは、中盤以降もハミルトンとのギャップを保ってトップを走行。終盤は残り10周を切ったところでタイヤを痛め、バイブレーションの問題を抱えたが、最後までハミルトンを寄せ付けなかったロズベルグは、昨年に続くトップで71周のチェッカーを受け、いつも以上の喜びを爆発させた。
一方、独走のロズベルグとは対照的に熾烈なバトルが繰り広げられた3位争いはベテランのマッサが制した。中盤まで3番手を走っていたベッテルは、36周目のピットストップで右リヤタイヤの装着に手間取り10秒以上をロス。これでマッサの先行を許したベッテルは、終盤に入って追い上げを開始。残り10周でその差1秒に迫ると、その後はDRSを使ってウイリアムズ攻略を何度も試みた。
しかし、ベッテルの激しいプレッシャーにもミスを冒さなかったマッサは、メルセデスのパワーユニットでトラクション不足を補い、フェラーリのオーバーテイクを許さず。最後は0.6秒差で逃げ切って見事表彰台最後の椅子を手にした。
5位はニコ・ヒュルケンベルグとの争いを制したバルテリ・ボッタスで、パストール・マルドナドも粘るマックス・フェルスタッペンを振り切って7位を獲得。セルジオ・ペレスとダニエル・リカルドが9位と10位でポイントを手にしている。
オープニングラップでアロンソを失ったマクラーレン・ホンダは、ジェンソン・バトンもレース再開直後の8周でリタイア。レッドブルリンクにはホンダの新社長に就任したばかりの八郷隆弘氏も視察に訪れていたが、今回もいいところなくレースを終えることとなった。