F1オーストリアGPの予選は、メルセデスのふたりが最終アタックでそれぞれにコースオフ。しかしそれでも、彼らがフロントロウを独占するという、“メルセデス速し”という結果でした。
前回のカナダでは、ポールスタートのハミルトンに最後までチャレンジできず2位でフィニッシュしたロズベルグ。その反省から、今回のオーストリアは予選を最重要課題に挙げていました。そして彼は、予選の最終アタックで、一旦はハミルトンに奪われてしまったトップの座を奪い返すために「リスクを冒して」攻めていきました。
予選後のコメントで「前のランより0.2秒速いことが分かった」と語っていたとおり、彼のラストアタックはセクター1が16.884秒で自己ベスト、セクター2は30.204で全体の最速と、その時点で(自己の暫定ベストタイムより)0.200秒速く、セクター3を21.367秒以上で駆け抜けていれば、ハミルトンのタイムを上回っていたはずです。彼は前のラップのセクター3で21.219秒という最速タイムを刻んでいることから、最後のターン8、9を普通にまとめていれば、ポールポジションはロズベルグだったはず。しかも、ハミルトンはセクター1でコースオフしており、全ては自分次第だった……しかし、最後の最後で足をすくわれてしまいました。
ロズベルグにとっては実に悔しい結果。しかも、この結果でまたも不利な状況に追い込まれてしまいました。逆転優勝のためにはスタートはもちろん、レース中も常にハミルトンにプレッシャーをかけ続けるスピードと集中力を発揮することが求められます。
一方、初日のロングランで印象的な速さをみせていたフェラーリは、セバスチャン・ベッテルが2列目3番グリッドを手にしたものの、キミ・ライコネンはチームのミスでQ1敗退。カナダに続き、一台が後方からの追い上げを強いられることになりました。特に、フリー走行2回目のソフトタイヤによるロングランでメルセデスを上回るペースを披露したライコネンにとっては非常にもったいない結果です。ピレリは今回の戦略予測で、トラフィックを考慮した結果、1ストップが主流になると見込んでおり、唯一のストップが予想される25周目以降はフェラーリが得意とするであろうソフトタイヤでの長いスティントになりそう。しかし、多くの遅いマシンを攻略しなければならず、ライコネンにとっては簡単なレースにはならないでしょう。
一方のベッテルは、マレーシアGP以来の勝利のチャンスと言えるかもしれません。トラブルにより十分なロングランが出来ていないのは不安材料ですが、レースペースのパフォーマンスは非常に高いはず。また、今回のベッテルはアウトラップ直後にベストラップを出していることから、タイヤの暖まりも良いと考えられます。となれば、アンダーカット等の戦略も有効になってくるでしょう。
この2チームに迫るスピードを秘めるウイリアムズは、最後のイエローフラッグの影響で、バルテリ・ボッタスが6番グリッドに甘んじてしまったものの、フェリペ・マッサが2列目4番グリッドを獲得。ボッタスもマッサの後ろ6番グリッドからスタートします。ウイリアムズとしては、マッサは4番手のポジションをまずキープすること、そしてボッタスはレースペースで劣ると見られる5番手のニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)を早めに攻略し、パワーユニットの優位を活かしてフェラーリとの表彰台争いに持ち込みたいところです。
注目のオーストリアGP決勝は日本時間の21時スタート。予報によれば、現地時刻の1時頃から雨が降ると言われています。その雨が、レースをより困難なものとするのでしょうか? 非常に面白くも、チームにとってはとても難しいレースになるかもしれません。