トップへ

GP2オーストリア決勝レース1レポート:松下信治、予選2位から「くやしい」自己ベストリザルト

2015年06月21日 05:10  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

GP2第4戦オーストリア決勝レース1のスタート
レッドブルリンクで行われているGP2オーストリアでは、松下信治が乗れている。事前にフォーミュラ・ルノーで練習走行を積んだこともあり、短い走行時間でもコース習熟は順調に進み、予選ではチームメイトのストフェル・バンドーンから0.089秒差の2番グリッドを獲得した。

 土曜日の午後に行われるレース1に向けて「絶対に表彰台に上がる。もちろん優勝を狙う」と自信を見せていた。スタート前には就任まもない八郷隆弘ホンダ新社長が激励に訪れ、握手を交わして「頑張ってね!」と声をかけられた。

 スタートではクラッチのつながりに違和感を感じながらも、ポールポジションのバンドーンと同等の加速。しかし4番グリッドのセルゲイ・シロトキンが抜群の好ダッシュで、あっという間に2番手を奪っていった。

 スタート直後にコースの各所で接触があり、ストレート上にピエール・ガスリーのフロントウイングの一部が飛んで落ちたためバーチャルセーフティカーが適用される場面もあったが、レース序盤はトップ3が逃げ、ウイングにダメージを負ったガスリーが後続を抑える展開となった。

 しかし、上位3台はスーパーソフトタイヤでのスタート。7周目にバンドーンがピットインしてミディアムタイヤに履き替えるが、左リヤタイヤの交換に手間取ってタイムロス。翌周にはシロトキンと松下が同時にピットインし、すばやくピット作業を終えた松下が前に出るかと思われたが、アンセーフリリースの審議対象となるほどの際どいピットアウトでシロトキンがポジションをキープ。「ブレーキを踏んだほど、危ないリリースでした」と松下は証言する。

 シロトキンと松下の2台はバンドーンの前でコースに戻ったが、すでにタイヤが温まっていたバンドーンは続くターン3で松下を易々とパスし、次のメインストレートでDRSを使ってシロトキンも攻略。この2台がバトルをしている間に後ろが詰まり、松下の後方には同ラップにピットインを済ませたアレキサンダー・ロッシが迫ってきた。

 松下はシロトキンを抜こうと攻めるが、決め手を欠いた。

「ペースは僕のほうが良かったんで、ずっとつきあわされたかたちになりました。ここはストレートが短いので、DRSを使っても抜ききるところまではいかなかったんです」

 ここで首位に立ったのはミディアムタイヤでスタートしてピットインを引っ張るガスリー。後方には同じDAMSチームのアレックス・リン、アルテム・マルケロフ、リオ・ハリアントらが続く。ペースが伸びないガスリーが抑えることで、30秒近くあったバンドーンらピットストップを済ませたドライバーたちとの差は20秒前後まで縮まっていく。19周目に、ようやくリンがガスリーの前に出てペースを取り戻した。

 一方バンドーンはミディアムタイヤのまま走り続けている下位集団に捕まりはじめ、その処理でタイムロス。22周目には前に詰まって行き場を失った松下のスリップにロッシが飛び込み、ターン3の立ち上がりで松下から実質3位のポジションを奪った。

「シロトキンと僕が2台で争っていて、シロトキンが前の誰かを抜いて僕がそこに詰まったときに、ロッシにスリップに入られて抜かれてしまいました」

 松下はあきらめることなく攻め続け、35周目のターン6でインを突いてロッシをパス。わずかに松下の右フロントがロッシの左リヤに接触したが、果敢にポジションを取り返した。

「彼が牽制してラインを変えてきたので、当たりました。でも向こうが勝手にラインを変えただけなので、僕に非はないと思います」

 ところが、31周目にピットインを済ませたリンがスーパーソフトの威力で後方から追い上げてきた。36周目にはロッシを簡単に抜き去り、松下の背後へ。数回のバトルをなんとかしのいだものの、39周目にはDRSを使われて、ターン3で3位を明け渡すことになった。

 レースはチェッカーを迎え、バンドーンが優勝。開幕からレース1を4連勝という驚異的な記録を打ち立てた。2位シロトキン、3位リンと続き、松下は4位に終わった。

「不完全燃焼です。まだ40%くらい。普通に走れればストフェルと同じペースで走れたはずだし、ピットストップでシロトキンの前に行けていれば展開は全然違っていたと思います。間違いなく表彰台に乗れたレースだったし、くやしいです」

 しかし、マシンの仕上がりも自分自身のドライビングの仕上がりも良いだけに明日のレース2に向けて気持ちを切り替える。

「明日は5番グリッドからのレースになるので、タイヤをセーブして、なんとか表彰台に乗りたい」

(米家峰起)