世界ラリー選手権(WRC)に参戦するフォルクスワーゲンのチーム代表ヨースト・カピーは、過酷なラリーとなった第6戦ラリー・イタリアを振り返り、FIAとイベント主催者に対し、WRCイベントに対する“耐久性”の正当化を呼びかけている。
先週行われたラリー・イタリアは、昨年不評だった競技ルートを変更し、デイ2の総ステージ走行距離は200km以上、総ステージ走行距離は約403kmという過酷なルートを設定。優勝を遂げたフォルクスワーゲンのセバスチャン・オジェも「体力的に最も厳しいラリーだった」とコメントしていた。
カピートは、このラリー・イタリアのようなイベントに苦言を呈している。
「我々は、耐久性の要素について話している。何が耐久なのかをね。500kmのロードセクション? それは耐久とは何も関係がない。長いロードセクションで長いラリーを作るのは馬鹿げているよ。競技とはいえないし、時間のムダだね」とカピート。
ラリー・イタリアをコーディネイトしたアントニオ・トゥリットは、イベントの個性化に不可欠だし、ファンを楽しませていたと反論する。
「このラリーは、ヨーロピアン・サファリだよ。アドレナリンを必要とし、ストーリーを情熱的に伝えることができる。これは、ラリーのキャラクターであり、都市の周りのラリーとは違うんだ」
「カピート氏は、朝6時と深夜にラリーサービスがあるのは好きではないと言っていた。しかし我々は、5000人が見ている中、朝と夜のサービスなしでラリーをすることができない。ただ、長いロードセクションについてのポイントは理解しているよ。このエリアでいくつかの新しいステージを見つけるため多くの可能性を探している」とコメント。
カピートは、「彼らは車の中に18時間もいるんだよ。見ている人は、何かが起こると思うかい? 誰も時間はないんだ。もし長い距離の耐久イベントをしたいなら、ダカールやクロスカントリーさ」と語っている。
表彰台を争いながらトラブルにより5位に後退してしまったシトロエンのマッズ・オストベルグは、「もし誰かが立ち上がり、この件についていい主張を教えてくれるなら、OKというさ。しかし、彼らはできないよ。朝5時に起きて真夜中にベッドに行くのは馬鹿げている。他のスポーツで見たことはないよ」とカピートの立場を支持。
しかし、WRCのマネージャーを務めるミケーレ・ムートンは、「もしラリーがどんどん短くなってしまったら、すぐにヨーロピアン・ラリー選手権のレベルになってしまう。今シーズン、400kmを超えるラリーはひとつだけでで、ほとんどが300kmを少し超えるくらいです。距離が増えればコストもかかりますからね」
「イタリアのDAY2は長い日でした。しかし、誰にとっても長い日だった。3週間ごとにレースをしているし、“立つことができないんなら家に帰れば?”というのが私のリアクションです。すこし失礼かもしれませんが、それが私の考えていることですよ」とコメントしている。