2015年06月19日 10:51 弁護士ドットコム
「B型の人は、ワガママだよね」「A型なのに、何で雑なの?」といったことを、あなたも言われたことがないだろうか。血液型を根拠にしたステレオタイプで性格を決めつけて、不愉快な思いをさせる「ブラッド(血液型)タイプハラスメント」。これを問題視する声があがっていることが、読売新聞の医療サイト「ヨミドクター」で紹介されていた。
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ヨミドクターの記事によると、聖徳大学心理学科講師の山岡重行さんが、1999年、2005年、2009年に、首都圏の私立大学生約3600人を対象に調査をおこなったところ、血液型の性格診断で「不快な経験をしたことがある」と答えた学生が約3割いたという。
その内容は、「別の血液型に見える」などの不快な言葉を受けた人が34%、「差別された・いじめられた」が23%、「性格を決めつけられた」が17%だったそうだ。
血液型による性格診断は古くからおこなわれてきたが、同僚や友人に「B型の人はワガママだ」などの言葉を投げかけて、不快な思いをさせてしまった場合、どんな問題があるのだろうか。南川麻由子弁護士に聞いた。
「単に『血液型のことで嫌なことを言われ、不快な思いをさせられた』というだけでは、ただちに違法ということになるわけではありません。
ただし、血液型を理由に不当な差別を受けたり、嫌がらせを継続的に受けたりした場合は別です。内容によっては、違法なものと評価される可能性もあるでしょう」
どんな場合に違法といえるだろうか。
「たとえば、血液型を理由に減給処分にされる、血液型が原因で上司から日常的にひどい嫌がらせをされる、といったことがあれば、問題となるでしょうね。
血液型と性格を結びつける考え方は、日本独自のもので、実は科学的根拠は希薄だと言われています。また、血液型という本人の努力では変えようのない事実を根拠に、人の性格や性質をステレオタイプに当てはめて高く評価したり低く評価したりすることは、いわば人を差別するという側面を持ちます」
しかし、血液型で他人を判断する人は、悪意や悪気はあまりないのではないか。
「何の考えもなしに血液型で相手の性格を決めつけるような態度をとることが、結果的に相手の気持ちを傷つける場合もありますよね。セクハラやパワハラにも同じことが言えるのですが、やったほうには悪気がなくても、相手が現に不快な思いをしているのなら、ハラスメント(嫌がらせ)だと言われてしまう可能性はあります。
『ブラハラ』という言葉は、今はまだ聞き慣れない人のほうが多いでしょう。しかし、今後この言葉が広まることで、『血液型による差別や嫌がらせの被害に遭っている人もいる』という問題意識が社会的に共有されるようになるかもしれませんね」
南川弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
南川 麻由子(なんかわ・まゆこ)弁護士
インターネット・SNS関連や、離婚、相続、遺言作成、成年後見等を得意分野とし、民事・家事・刑事等幅広い分野に対応。子どもや市民向け法律講座や企業セミナー講師等も多数担当する。Twitterアカウントは@lawyerMAYUZO。
事務所名:弁護士法人リバーシティ法律事務所
事務所URL:http://www.rclo.jp/