待機児童の多さが社会問題化するなど、育児と仕事の両立に頭を悩ませる親が増えている。この解決策を探ろうとしたのか、6月17日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)では「子連れ出勤」を取り上げていた。
番組では、これから子連れ出勤を導入しようと試みている都内の不動産会社を取材。6歳の息子とともに「初めての子連れ出勤」を行う母親に密着した。
「ちょっと集中できないんで」と社員が退出
この親子が会社に到着したものの、会社には子ども専用のスペースがない。息子が持参したおもちゃを触って音を立てたり声をあげると、雑音となって響いてしまう。母親も「ちょっと集中できない…。皆さんも集中できないかと思います」と困惑気味だ。
場に慣れてくると、息子はさらに調子を上げてくる。母親の椅子の後ろに立ちあがったりと大胆な行動に出た。子どもの存在が気になるのか、男性社員は「今のところ(自分の)集中力は切れてますね」と語った。
他にも2歳児を連れて出勤した社員がいたが、子どもに慣れない社員には厳しかったようだ。始業から2時間で「ちょっと集中できないんで、外のカフェで仕事しようかなと…」と社を後にする男性社員もいた。
次に番組は、「子連れ出勤」を導入して2年になるという会社も紹介。都内のギフト販売を手掛ける会社では、女性社員だけではなく男性社員も「子連れ出勤」を活用している。
社内には子どもたちのために土足厳禁の小さなスペースも設けられ、ランチタイムにその子の親が手を離せないときは、他の社員が協力して面倒を見ている。子どもと接することで、新しいギフト企画のアイデアにつながることもあるという。
このような環境に触れることで、独身の男性社員が「早く子どもが欲しいなと思います」と話すなど、社員の意識変化にもなっているようだ。
6人の出演者のうち「反対」は小倉氏のみ
番組では1社目と2社目の紹介の後に、それぞれ賛成か反対か6人の出演者にアンケートを実施。反対を表明したのは2回とも、司会の小倉智昭さんだけだった。小倉さんのコメントは、かなり否定的なものだ。
「効率が落ちたりとかするだろうからね、仕事の」
「これね、親の都合なんだよね」
スタジオではたった1人しかいなかった「反対派」だが、この番組を視聴した人のネット書きこみは、小倉さん寄りの意見が圧倒的に多い。Yahoo!のリアルタイム検索で「子連れ出勤」を調べたところ、ポジティブなつぶやきが9%、ネガティブなつぶやきが67%だった。
ツイッターには、「子連れ出勤大賛成」「少子化解消すると思う!」という意見や、「子連れ出勤できる会社とかってそれだけでもバリューだな」との声があがったものの、子どものケガを心配する意見や、子どもが苦手な人にも配慮して、といった意見があがった。
職場に子連れ出勤をしている同僚がいるという人は「絶対反対。本当やめてほしい」と意見を表明し、「(自分が)女ってだけで面倒押し付けられるのも嫌」と不満を表明。子どもを持つ母親からも、反対する声が出ていた。
「子供を見ながら仕事って‥自分には出来ない。。周りも迷惑だと思うけどな」
「子連れ出勤、反対やなぁ。その企業にもよるんやろうけど、子連れ出勤する側は有り難いと思うけど、自分がしてない人の立場やったらこれで同じ給料やとあんまり納得しやんかなぁー」
デーブの「大企業は託児室作るべき」にネットも賛同
番組では、コメンテーターのデーブ・スペクター氏が、「ある程度の大企業だったら託児室作るべきなのに、作っていないところが多すぎる」と企業の託児室について言及していた。ネットにも「勤務場所と一緒は駄目だろ」「あの環境で集中できないよね」など、これを支持する意見が多く見られた。
中小企業庁の資料によれば、日本の大企業の数は約1.1万社。一方、厚労省の資料では、全国の事業所内保育所の数は、病院の院内保育施設を除くと1700か所あまりで、単純計算でおよそ6.5社に1社しか託児室を置いていない計算となる。
「子連れ出勤」を推奨するはずの番組だったが、結果的には託児室の必要性を浮き彫りにする内容になってしまったようだ。
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