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上野でフィンランドの国民的女流画家の個展

2015年06月17日 00:02  オズモール

オズモール

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近年の北欧デザインブームや、2014年に公開された新作映画でのムーミン人気も手伝って、いま、フィンランドを訪れる日本人が増えているのだとか。2017年には建国100年を迎えるこの国で、フィンランド好きなら絶対に知っておきたい国民的な女流画家がいるって、知ってた?

それが、フィンランドを代表する画家、ヘレン・シャルフベック。2012年にはフィンランドで生誕150周年を記念する大回顧展が開催され、近年、世界的にも注目される画家に。

2015年6月2日(火)から7月26日(日)まで、東京藝術大学大学美術館で開催中の「ヘレン・シャルフベック―魂のまなざし」では、国宝級の作品と言われる「快復期」(1888年)をはじめ、代表作が一堂に会しているそう。

シャルフベックの作品は、時代によってタッチがさまざまに変化するのが特徴。それには、彼女の生涯が深くかかわっているのだとか。この展覧会では、19世紀末から20世紀初めにかけて活躍した、フィンランドの女性画家の心の揺れや魂の軌跡を、日本で初めて時系列でしっかりと展示される。

3歳の時に事故で左足が不自由になりながら、11歳で絵の才能を見いだされ、後にパリで当時流行の“レアリスム”のスタイルを身に付けた若い時代。その後、パリからヘルシンキに戻り、母の介護のためにヘルシンキ郊外のヒュヴィンカーに移住したシャルフベックは、フランスの美術雑誌などを定期購読することで、マネやホイッスラー、セザンヌなどの影響を受けるように。

「おしゃれには敏感だったようで、モード雑誌を通じて知ったフランスの有名店などで服を注文することもあったそうですよ」と、広報担当者さん。また、晩年に描き続けた「自画像」も見どころで、一切美化することなく描かれた絵には、死ぬまで一人の画家であり続けようとした強い「まなざし」を感じるはず。

「23歳で婚約破棄された時には暗いトーンの絵、50代で失恋した時には自分の顔を傷つけた自画像など、心の揺れが絵にも反映されていて、本当に正直な女性だったのだろうと思います。展示は初期から晩年まで網羅していますので、展覧会を見終わった後には、女性の一生を描いた映画を1本見終わったような気分になるのでは」(同)

国民的画家という名声と、恋に悩むひとりの女性としての横顔…彼女の人生のストーリーとともに鑑賞すれば、もっと身近に感じられるかも。