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安保法制「合憲」わずか3人、非難の嵐――「報ステ」が憲法学者151人にアンケート

2015年06月16日 18:11  弁護士ドットコム

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政府提出の安保法制を合憲とする「著名な憲法学者」はごくわずかーー。国会で審議中の安全保障関連法制について、テレビ朝日のニュース番組「報道ステーション」が憲法学者を対象に行ったアンケートの結果が6月15日夜、発表された。回答した151人のうち、「憲法違反の疑いはない」としたのは3人にすぎず、「憲法違反にあたる」「憲法違反の疑いがある」という否定的な見解が大多数を占めた。


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アンケートは6月6日から12日まで、代表的な判例集「憲法判例百選」(有斐閣)の執筆者に名を連ねている憲法学者198人を対象に実施された。判例百選は、法律を勉強する学生必携の判例解説書で、国内の有名大学の研究者が数多く執筆している。今回のアンケートでは、151人から回答があった。



「今回の安保法制は、憲法違反にあたると考えますか?」という問いには、84%(127人)が「憲法違反にあたる」と答え、13%(19人)が「憲法違反の疑いがある」と回答した。一方、「憲法違反の疑いはない」と回答したのは、2%(3人)だった(残り2人は未記入)。



●「一旦廃案にすべき」「憲法学者の多数決で決めるものではない」


報道ステーションのウェブページでは、今回の安全保障法制についての意見を自由回答欄に記述した学者のうち、実名で公開してもいいとした80人の見解を公表している。



慶応義塾大学の小林節名誉教授は、安保法案が、法的にも政治的にも誤っていると指摘したうえで、「戦争経済で疲弊・破綻した米国の二の舞で、いずれにせよ、わが国を自殺に導くような歴史的愚策である」と断じた。



また、九州大学法学部の南野森教授は「一旦廃案にして議論をやり直し、その上で集団的自衛権行使や他国軍隊への非・非戦闘地域での恒久的後方支援が本当に必要だということになれば、憲法9条の改正を正面から国民に問うべき」と手続き上の問題点を強調した。



一橋大学大学院法学研究科の阪口正二郎教授は、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣が、安全保障関連法案について「現在の憲法をいかにこの法案に適用させていけばいいのか」と発言した点に触れ、「立憲主義とは、政治を法に従わせるものであって、法を政治に従わせるものではない」と指摘した。



一方で、九州大学大学院法学研究院の井上武史准教授は、「憲法には、集団的自衛権の行使について明確な禁止規定は存在しない。それゆえ、集団的自衛権の行使を明らかに違憲と断定する根拠は見いだせない」「ある憲法解釈が妥当か否かは、憲法学者の多数決や学者の権威で決まるものではない」と沸き起こる反対論に否定的な見解を寄せた。


(弁護士ドットコムニュース)