6月13日~14日に開催された2015年のル・マン24時間耐久レース。WEC世界耐久選手権のLMP1クラスに今年から参戦しているニッサンは、オリジナルマシンのニッサンGT-R LMニスモで今年のル・マンに挑戦。実戦初投入となったGT-R LMニスモだが、初戦の目標は達成したという。
ニッサンは今季WECに向け、他陣営のコンセプトとは大きく異なるFFレイアウトを採用したLMP1車両、ニッサンGT-R LMニスモを開発。プログラムの遅れによりシリーズの開幕2戦を欠場したものの、ル・マンには3台のマシンを持ち込み、伝統のレースで初の実戦を迎えることになった。
ニッサンは、今回のル・マン参戦にあたり、3台のうち1台はフィニッシュまで導くという目標を設定。予選では、同クラスにおける最速タイムの110%を切れなかったとして、3台ともにLMP2クラスの後方からのスタートとなってしまったが、3台揃って決勝に臨んだ。迎えた決勝では、23号車がクラッチのトラブルにより遅れてスタートするも、その後無事コースイン。各マシン、トラブルに見舞われる場面もあるも、開始から10時間ほどで合計100周以上を走行した。
ただ、21号車は、開始から10時間というところで、松田次生のドライブ中に右フロントタイヤを失うトラブルに見舞われてしまう。次生もピットへ戻ろうとコース上で懸命な努力を続けるも、最終的にはそのままリタイアとなった。
また、遅れてスタートしたものの、レース終盤まで走行を続けていた23号車も、残り1時間というところでサスペンションのトラブルが発生。チェッカーまで残りわずかというところで、こちらも残念ながらリタイアとなった。
一方、22号車については、開始から9時間というところで、ティンクネルのドライブ中に340km/hでコース上の大きなデブリと接触しダメージを負ってしまう。ただ、修復されコースへ復帰した22号車は、最終的に242周をこなし、完走扱いとはならなかったものの、24時間を走りきってチェッカーフラッグを受けた。
ニッサンのモータースポーツ部門を率いるダレン・コックスは、今回のル・マンを振り返って「私は今、チーム全体を本当に誇りに思っているよ」とコメントしている。
「たしかに、我々にはトラブルが発生したが、それは新境地を切り開く際には起こりうるものだ。エンジンは強力だったし、発生したその他の問題にも素早く対処することができた。我々は信じられないほど膨大なことをル・マンで学んだ。戦いは、我々自身をより強くするんだ」
「ほとんどのLMP1マニュファクチャラーは、彼らにとっての最初のル・マン挑戦ではフィニッシュをしていない。だから、この(1台はフィニッシュまで導くという)目標を達成するのは、我々にとって非常に重要なことだったんだ」
「ガレージの全員が今週末のヒーローだ。ドライバーたちも、困難な状況のなかで全員が信じられないような働きをしてくれた。我々は、やるべきことは正確に行った。腰を据えて問題の解決に取り組み、現在のパフォーマンスを最大限に活用し、そしてル・マン24時間でフィニッシュを迎えたんだ」
まずは第一の目標を達成したニッサン。2台体制でエントリーしているWECの次戦は、8月のニュルブルクリンク戦だ。今回のル・マンで多くのことを学んだニッサン、そしてGT-R LMニスモが、2戦目ではどれほどの向上を遂げ、どのような走りをみせるのかにも注目したいところだ。