第83回ル・マン24時間耐久レースで3位となった7号車アウディR18 e-トロン・クワトロ。昨年のウイナーでもあるアンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ/マルセル・ファスラーの3人が、「簡単ではなかった」と今年のレースを振り返っている。
2012年から続くR18 e-トロン・クワトロでのル・マン連勝記録を伸ばすとともに、通算14回目のル・マン制覇を目指して今年のレースに臨んだアウディ陣営。7号車アウディは今季、WEC世界耐久選手権の開幕2戦で連勝。昨シーズンは戦闘力の不足に苦しんだものの、今年は再び強さを見せつけてのル・マン入りとなった。
予選では一発の速さに勝るポルシェ陣営が上位を独占し、アウディの3台がそれに続く形に。7号車は5番手からのスタートとなる。開始直後から首位争いを展開していた7号車だったが、序盤にはスローパンクチャーに見舞われたほか、夜が明けたところでエンジンカウルが飛んでしまうトラブルも発生。この際にはピットで給油口周辺も確認し5番手まで後退する。さらに、レース終盤には、スローゾーンでの違反があったとしてドライブスルーペナルティも科せられる。最終的なリザルトとしては3位表彰台獲得となったものの、7号車にとっては決して順調とは言えないレースとなった。
「ペースが非常に速かったから、簡単なレースではなかった」とレースを振り返ったのはファスラーだ。
「ル・マンは24時間を通したスプリントレースだ。つまり、単純に全てがうまくハマらなくてはならない。僕たちには勝てるクルマがあったが、スローパンクチャーやエンジンカウルへのダメージなど、多くの問題が発生し、それによって多くの時間を費やしてしまったんだ」と、今回の"敗因”を語る。
トレルイエも「レースでは休まずに攻め続けた。勝利を得るチャンスはあった」と好感触はあった様子だ。ただ、「今年はポルシェの方が優れており、勝利にふさわしかった」と、総合優勝を奪ったポルシェの速さを称賛。「僕たちはここ数年、技術に加えて、レースに必要な運を引き寄せることができていた。ただ、今年はそうではなかった」と、流れにも恵まれなかったとレースを振り返った。
一方ロッテラーは、「懸命に戦ったが、不運なことに多くの困難があった。だから、3位という位置はうれしいよ」と、順調に進まなかったレースでの3位を前向きに捉える。
「我々は失敗から学び、来年はより強くなって戻ってくるだろう。幸い、3位に入ってドライバーズチャンピオンシップのポイントを多く獲得することができた。それはまだ僕たちの目標だからね」と語る通り、シリーズの中核をなすル・マンこそ落としたものの、WECで開幕2連勝を果たし、チャンピオンシップのポイントが2倍となるル・マンでも3位に入った7号車は、現在80ポイントでランキング首位をキープ。来年のル・マンでの雪辱を誓いつつ、今季後半戦ではトヨタからのシリーズチャンピオン奪還に照準を合わせている。