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インディカー第10戦トロント:CFHレーシングが1-2フィニッシュと躍進。佐藤琢磨は10位

2015年06月15日 10:00  AUTOSPORT web

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インディカー・シリーズ第10戦トロント/今季2勝目を挙げたジョセフ・ニューガーデン
カナダ・トロントで開催されたベライゾン・インディカー・シリーズ第10戦。14日に行われた決勝レースは、ジョセフ・ニューガーデンが今季2勝目を挙げた。チームメイトのルカ・フィリッピも2位に入り、CFHレーシングが1-2フィニッシュを達成。佐藤琢磨(AJフォイト)は、上位争いに食い込めず10位でレースを終えた。

 絶妙なタイミングでのピットストップがジョセフ・ニューガーデン(CFHレーシング)にキャリア2勝目をもたらした。

 金曜日のプラクティスからスピードは見せていたニューガーデンだったが、予選で失敗。ファイナル進出を逃して11番グリッドからスタートすることとなった。全車ウエットタイヤ装着で始まったレース、序盤のニューガーデンは9、10番手を走っていた。

 トップグループを走っていなかったことから、ニューガーデンは11周目と少し早いタイミングでスリックにスイッチ。そして、29周目にジェイムズ・ジェイクス(シュミット・ピーターソン)がタイヤバリアに突っ込むと、フルコースコーションが出されるギリギリ前にピットへと滑り込み、タイヤ交換と燃料補給を行った。この作戦が大正解だった。

 トップグループが次にピット作業を受けたのは、ジェイクスのアクシデントの処理に目処がついてピットロードがオープンにされた31周目。ここでステイアウトできたニューガーデンは一気に2番手にまで順位を大きくジャンプアップさせることに成功したのだった。そして、これが今日の彼の優勝の決め手となった。

 路面はもうドライに変わっており、プラクティスからの速さがここで発揮された。2回目、3回目のピットストップではブラックタイヤをチョイスし、安定したハイペースを保ってゴールを目指した。

 ニューガーデンが経験した今日唯一の試練は。レース終盤に2番手へと浮上して来たチームメイトのルカ・フィリッピによるアタックだった。イタリア出身でF1テストドライバーの経験も持つフィリッピは、予選6番手からトップグループにポジションを保ち続けた。そして、フルコースコーション中の31周目に行ったピットストップからのスティントを60周目まで引き延ばすことで4番手まで浮上した彼は、ゴール前15周となってニューガーデンにバトルを挑んだ。しかし、前を走る優位をフルに使ったニューガーデンがギリギリのところでフィリッピの攻撃を封じ込め、キャリア2勝目へと逃げ切った。


 優勝は果たせなかったが、フィリッピはキャリアベストとなる2位フィニッシュで初の表彰台。そして何より、CFHレーシングが初めての1-2フィニッシュを達成した。3位はエリオ・カストロネベス、4位はウィル・パワーとシボレー軍団のナンバーワンであるチーム・ペンスキーのふたりを後ろに従えての1-2フィニッシュは大きな価値がある。

 5位はセバスチャン・ブルデー(KVSHレーシング)で、6位はトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)。ポイント・リーダーのファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)は7位でのゴールとなった。

 パワーは序盤こそポールポジションからトップを走ったが、ピットタイミングの違いから集団の中に埋もれると、そこから抜出すのに長い時間を取られた。予選2番手だったサイモン・ペジナウ(チーム・ペンスキー)は少し遅いマシンの処理にパワー以上に苦しみ、11位でのゴールとなった。

「また優勝できて最高に嬉しい。それがチームの1-2フィニッシュになるなんて驚きだ。チームが本当に凄い力を発揮してくれている。今日は凄まじい接戦になっていた。そして僕はイエローで少々ラッキーも貰えた」とニューガーデンは語った。

 フィリッピは、「今日は表彰台に上ることをチームとして目標に掲げた。そして、2台揃って目標を達成したんだから嬉しいね。チームが僕らをトップグループで走らせるために必要な仕事をすべて完璧にこなしていくれていた。マシンには速さがあったので、いかにしてクリーンエアを受けて走るチャンスを作るかが課題となっていた。それを実現できたから1-2フィニッシュができた」と話した。

 佐藤琢磨は予選8番手から10位でゴールした。ウエットの序盤にはカストロネベスやモントーヤとのバトルを制して5番手まで上がったが、1回目のピットストップでポジションを落とし、レース終盤はピットでの燃料補給がうまくいかなかったために燃費セーブを強いられ、10位と予選より3つ後方のポジションでのゴールとなった。

「もっと雨が降って欲しかった。激しいバトルが続き、短く感じたレースでした。マシンはドライでもう少し速さが欲しかった」と琢磨はレース後に話していた。
 
 次戦までには1週末のインターバルを挟む。第11戦はカリフォルニア州フォンタナでの500マイルレースだ。

(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)