カナダ・トロントで開催されているベライゾン・インディカー・シリーズ第10戦。13日に行われた予選は、シボレー勢がホンダ勢を圧倒し、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がポールポジションを獲得した。佐藤琢磨(AJフォイト)は、ファスト6進出を逃すもホンダ勢最上位となる8番手から決勝に挑む。
昨年度チャンピオンで、今シーズンはランキング2位につけているパワーがトロントでの予選でポールポジションを獲得した。テキサスから2週連続で、セント・ピーターズバーグ、グランプリ・オブ・インディアナポリス、デトロイト・レース1、テキサスに続く今季5回目のPPだ。
ファイアストン・ファスト6によるPP争いは、思いのほか高くなった路面温度によって、レッドタイヤ使用でもブラックタイヤでのプラクティスから大きくラップタイムを縮めるのが難しくなっていたが、パワーは59秒5920を出してトップに立った後、最後のラップでさらにそれを59秒4280に縮めるダメ押しをした。
これでパワーはキャリア41回目のPP獲得。チーム・ペンスキーの大先輩であるリック・メアーズを越え、インディカー歴代5位にランクされることとなった。現役ドライバーの中でトップは彼のチームメイトであるエリオ・カストロネベスによる43回で、歴代最多はマリオ・アンドレッティの67回だ。
2007年、2010年にトロントで勝っているパワーは、「ポールからスタートすればトラブルに出会うリスクはグッと減る。しかし、インディカーのレースはそうそう簡単にはいかない。それでもポール獲得は素晴らしいことだし嬉しい。このコースはドライビングが本当に難しいんだ。コーナーの真ん中でグリップが失われ、ステアリング操作は休みなしだよ」と語った。
予選2番手はサイモン・ペジナウ(チーム・ペンスキー)。パワーとの差は0.1815秒だった。「攻め過ぎてタイムをロスしてしまった」とペジナウはポールを逃したことを悔やんでいた。
「予選が自分にとっての課題になっている。タイムが良くなる最後の最後の時間帯によい仕事をしなければならない。そこができていない。ファスト6進出は開幕以来続けて来れているのに……」。それでもペジナウは今季2回目となるフロントロースタートを明日のレースでは切ることとなった。
ポイントリーダーのファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)は予選3番手となり、またもペンスキーが予選1-2-3を達成した。エリオ・カストロネベスはファイナルに進めず予選7番手となったが、ペンスキー勢の予選1-2-3も今シーズンこれで5回目だ。
予選4番手はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)。5、6番手はセバスチャン・ブルデー(KVSHレーシング)とトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)。今回の予選ファイナルは全員がシボレーユーザーだった。
予選7番手のカストロネベスまでトップ7がシボレー勢で、ホンダ勢最速は予選8番手の佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)だった。グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)はプラクティスではホンダのトップだったが、予選結果は10番手だった。
「あと500分の1秒、それをどこから絞り出すことができたのか……今の僕にはわからない。今日は自分としては全力を出し切るアタックができていました。ポールポジションは狙えないけれど、ファイナル進出はしたかった。それにあとちょっと届かなかった。明日のウォームアップで安定したマシンを作ってレースに臨みます」と琢磨は語った。
予選前のプラクティスでセッティングが一旦後退したが、予選に向けて調整を加えてマシンを向上させて来た琢磨。彼は明日のレースで充分に戦える感触を掴んでいるようだ。