13日にスタートした第83回ル・マン24時間耐久レースでデビュー戦を迎えていたLMP1-HクラスのニッサンGT-R LMニスモ。3台のマシンは数多くのトラブルに見舞われ走行を続けていたが、21号車が0時42分頃にストップを喫し、1時44分に正式にリタイア届けが出されることになってしまった。
松田次生/ルーカス・オルドネス/マーク・シュルツイスキーというトリオで臨んだ21号車GT-Rは、他の2台とともにLMP2クラスの後方から初めてのル・マン24時間の決勝レースを戦っていた。夜になって次生が乗り込み、途中クラッチトラブルとサスペンショントラブルに見舞われ長いストップを喫してしまったが、その後は次生が「クルマのバランスは良くて、タイムも僕が出した予選タイムよりも2秒くらい速いペースで走れていました」と好調なタイムでポジションを挽回していた。
しかし、スタートからもうじき10時間を迎えようかという0時42分、モニター上に21号車がストップしているシーンが映し出された。21号車は右フロントタイヤを失っており、次生はなんとかグリーン上で体勢を立て直しコースに復帰しようと試みたが、ズルズルと底から火花を飛ばし、しばらく進んだ後に再びストップ。そこからは動くことができず、1時44分にリタイアとなってしまった。
アルナージュでのストップだったこともあり、ピットに次生が戻ってきたのは50分近く経ってから。少し目を赤くしながらピットに入った次生は、マシンデザイナーのベン・ボウルビーやニスモ宮谷正一社長、柿元邦彦総監督らと握手を交わし、状況を報せた。
「ホイールナットがゆるんで取れたと思うんです。ブレーキングした時にタイヤが完全に取れてしまって。ピットに戻ろうとは思ったんですが、そこで何かを引きずったのと、FFなので左右の回転差が出てしまって、何かオイルが出てしまったみたいなんです。そのオイルに乗ってアルナージュでスピンしてしまいました」と状況について語った次生。
「なんとか立て直そうとは思ったのですが、そこから先はオイルが漏れてしまっていて全然駆動がかからなくて。仕方ないですね……」
21号車はテストデーがシェイクダウンで、そこからなんとかセットアップと修理を繰り返しながら走り続けてきた。次生にとってはスーパーGTチャンピオンの称号を引っさげ挑んだ初めてのル・マンだったが、結果は残念ながらその実力を十分にみせることなくリタイアとなった。
「夜はかなり良いペースで走れていたので、来年は勝負できるマシンで戻ってきたいと思います」と力強く語った次生。来季、次生を輝かせてくれるマシンが与えられることを期待したい。