第83回ル・マン24時間耐久レースはスタートから4時間が経過した。依然としてポルシェ、アウディの2ワークスによる僅差の首位争いが展開されており、上位は目が離せない戦いとなっている。
開始1時間後に発生した92号車ポルシェの炎上によるセーフティカーが解除された後、ル・マン24時間の総合首位争いはふたたびポルシェ、アウディによる苛烈なバトルが展開される。その中で、爆発的なダッシュをみせたのは7号車アウディをドライブするアンドレ・ロッテラー。ラップダウンのマシンを上手に使いながら17号車、18号車という2台のポルシェをかわし、レースを優勢に進めはじめた。
各陣営とも大きなトラブルなくスティントをこなしていくが、多くの陣営が3スティントでタイヤ交換を実施。7号車アウディが4スティントめにいくかに思われたが、ロッテラーは早めにピットに戻りタイヤを交換。ここでブノワ・トレルイエに交代している。
僅差のまま上位陣の争いは続いていったが、17時51分、アウディ勢の一角にアクシデントが起きる。ル・マンではSC出動を減らす代わりに『スローゾーン』という60km/h制限の区間が設定されているが、インディアナポリス手前でGTEクラスの車両がスローゾーンのため急減速していたところで、ロイック・デュバルがドライブしていた8号車アウディが減速した前走車を避けきれず、スピンを喫しガードレールにヒット。フロントを激しく壊してしまう。
しかし、自走でピットに戻った8号車は、かなり大きな破損だったにも関わらず、クラッシュ発生から5分ほどで修理を終えピットアウト。同時にコース上にはガードレールの補修のためにSCが出動したため、8号車はダメージを最小限に抑えたと言える。その後8号車はラップダウンを奪還するほどのハイペースで追い上げを図っている。
このガードレール補修のためのSCは30分近くを要することになったが、ちょうどSC解除の表示が出された直後にLM-GTEアマクラスの88号車ポルシェ911 RSRのリヤからオイルが漏れ出火。SCは急遽延長となる。その後SCは解除となったが、これらの展開の中でもポルシェ勢、アウディ勢の5台は1分以内のギャップで走行。ルーティンストップのたびにポジションを入れ替える戦いとなっている。
4時間経過の時点で、首位は17号車ポルシェ。7号車、9号車とアウディ勢が続き、18号車、19号車とポルシェ勢が僅差の争いを展開している。2強に続いているのは、ノートラブルで走行を続けているトヨタ勢で、1号車が6番手、2号車が7番手となっている。
ニッサンGT-R LMニスモ勢は、最もトラブルが少ない22号車がLMP2勢に混じって総合19番手を走行中。長いピット作業を強いられた21号車が総合28番手。ピットスタートの23号車は総合49番手となっている。
LMP2クラスは、スタートからかわらずKCMGの47号車オレカと、Gドライブ・レーシングの46号車が僅差の首位争いを展開中。また、LM-GTEプロクラスも64号車シボレー・コルベットC7Rと99号車アストンマーチン・バンテージが4時間経過とは思えぬ驚異的なバトルを展開している。