日本のモータースポーツの歴史に、新たな一歩が記されることになりそうだ。すでに一般紙などで報道されているが、公道でのレース実施を可能とするための法案が自民党により提出され、本国会中の成立が目指されるようだ。この法案は以前より提出が取り沙汰されていたが、国内モータースポーツの悲願とも言える公道レースの実施が、ようやく現実味を帯びてきた。
モナコやシンガポールのF1、そしてマカオのF3など、世界各国では多くの公道レースが行われている。日本でもこれまで、小樽でのチャンプカー(現インディカー)、沖縄でのスーパーGTなど、いくつかの公道レース実施案が出されてきたが、いずれも実現できずに今に至っている。これは、騒音や安全性などの面から、管轄警察による使用許可が下りなかったという側面が大きい。
今回の法案では、手続きを簡素化し、公道レース実現に向けたハードルを下げる狙いがあると見られる。また、この「モータースポーツ推進法案」を成立させ、実際に公道レースを行うことで、こちらも国会にて審議中のカジノ法案などとともに、各観光地の活性化に繋げることを目指しているようだ。
なお、昨年から選手権が始まったフォーミュラEは、全戦が公道で行われることになっている。日本での開催についても、兼ねてから待望論があり、さまざまな地名が開催地候補として噂されてきたが、現在までのところ開催が正式に決まったという話は聞こえていない。
日本におけるフォーミュラEの総合窓口を務める、電通スポーツ局の金淳一部長は、「スーパーフォーミュラでも、スーパーGTでも、日本でも公道レースができるようになることは、非常に良いことだと思います。その中で、フォーミュラEも日本でできるようになれば、とても嬉しいことだと思います」と、オートスポーツwebの取材に答えた。
デモランやパレードなど、日本でも公道をレーシングカーが走った事例はいくつかある。しかし、20世紀初頭のモータースポーツ黎明期や、ラリーなど一部の例を除き、日本国内で公道レースが行われたことはない。今回の法案が成立し、公道レースが実現するとなれば大いに盛り上がるのは必至であり、日本のモータースポーツに新しい可能性が開けることは間違いない。