就活生の話を聞いていると、すでに採用内定を受けている人は珍しくないようです。景気回復という「雰囲気」のおかげで、採用枠も増えているのですから当然の結果でしょう。
夏になれば、大手企業が採用活動に大手を振って参加してきます。実は経団連加盟企業でも水面下ですでに選考を進めていて、「8月1日に最終面接だけを予定している」という話も耳に入っています。この日を境に内定者が続々と現れることでしょう。(文:河合浩司)
「オワハラ」に負けないで納得するまで
こうなると、就活生が直面するのは「就活をいつまで続けるか」という問題です。現時点ですでに内定を受けている就活生は、2か月以上も「内定承諾書」の提出を待ってもらわなければなりません。
まずは素直な本音を話して、採用担当者と相談することを私はお勧めします。今年は採用時期の混乱により、「志望企業がまだ説明会すら開いてない…」と困っている就活生もいる状況ですから、ある程度は待ってもらえるはずです。
ただ、現実的には「2か月以上も待ち続ける」というお願いを素直に聞き入れてくれる企業は、決して多くはないでしょう。採用担当者も一人の会社員として、採用人数という目標数値を持たされています。一日も早く達成して、楽になりたいからです。
また、人材の確保ができなければ困るのは経営陣も同じですから、最終面接で俗に言う「オワハラ」といった大人げない行動に出る企業もあるのです。
いろいろなプレッシャーを受けているとはいえ、法律が許しても人として超えてはならない一線があります。就活生のみなさんは、汚い大人の手口に負けないで、自分が納得するまで就活を続けてください。
後悔を残して入社すると「退職」につながりやすくなる
これは採用担当者としてはあまり言いたくないのですが、「ひとまず内定承諾書を提出しておいて、就活を続ける」ことも、特に今年は致し方ないと思っています。
企業側からすると、夏以降に内定辞退が多発することを当たり前に想定しています。内定辞退は織り込み済で多くの内定を出しているので、就活生は自分の意思を優先してください。
企業に言われるがまま就活を終えてしまうと、入社後に「あの時、就活を続けてB社もC社も受けた方がよかったなぁ」という後悔が残ってしまいかねません。仕事が辛い時にこういう思いが重なると、退職にもつながりやすくなります。
これは、就活生にとっても企業にとってもお互いに損です。長い目で見れば、就活生が納得のいくまで就活をすることが両者にとって、最も良いのです。
「承諾書の乱発」はダメ。まずは相談を
「内定承諾書」が法的に拘束力を持たないことは、もはや周知の事実ですから「正式に書類を出したら辞退できなくなる…」と怖がる必要もありません。
とはいえ、「御社に入社を決めました」という約束をしたことになります。約束を簡単に放棄するような人間にはなって欲しくはないので、承諾書の提出を乱発するようなことはしないでください。
まずは、冒頭に書いた通り、採用担当者ととことん相談してください。それでも、無理なら「内定承諾書」を出してでも、就活を続けてください。
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