ル・マン24時間を運営するACOフランス西部自動車クラブは、11日に開催されたプレスカンファレンスの会場で、2016年/17年のレースに出走する特別枠『ガレージ#56』の車両を発表した。
『ガレージ#56』は、55台が最大出走枠であるル・マン24時間において、環境技術等の新技術を採用した車両に与えられる特別枠。2012年から採用され、特異な形状のニッサン-デルタウイングが初めてガレージ#56車両として参戦。13年は水素エネルギーを使ったグリーンGT H2の参戦が予定されたが、こちらは実現せず。14年は再びニッサンが参戦し、電気レーシングカーのZEOD RCで登場した。
そんなガレージ#56車両として、2016年に登場することになったのはフレデリック・ソーセというドライバーが率いる、『ソーセ・レーシングチーム41』だ。ソーセは2012年に細菌感染によって手足を切断することになってしまったが、その後レーシングカーでル・マンに挑むという夢をもちはじめる。
ソーセはその後、切断した腕に繋げられたステアリングと、足先の装置でペダルをコントロールする装置で、CNクラスのリジェJS35でレース参戦を開始。16年のル・マンには、LMP2車両のモーガンに装置を組み込み、アウディエンジンを積み参戦するという。ソーセのパートナーには、豊富なル・マン参戦経験をもつクリストフ・ティンソーが加わった。
一方その翌年、2017年にガレージ#56枠から出走することになったのは、フランスのウェルター・レーシング。かつてはさまざまな形でル・マンに挑んできたチームで、ユノディエールがまだ6kmの直線だった頃、直線スピードを狙い405km/hという記録を叩き出したセカテバ・プジョーが有名だ。
そんなウェルター・レーシングが投入するのは、2014年のLMP1レギュレーションに沿ったシャシーに、3気筒1.6リッターエンジンを積むマシン。この車両はバイオエタノールを使用し、450馬力を発生するという。