ついこの間、高田純次がトルコ・イスタンブールをぶらつく番組が放送されていた。6月8日(月)放送の「高田純次のアジアぷらぷら」(TOKYO MX)という30分番組だ。番組説明には“アジアNo.1のテキトー男、高田純次が気の赴くままにアジアの街をぷらぷら散歩します”とある。
「元祖・適当男」だなんて呼び声も高い高田純次だけど、この旅行中に見せた高田の顔は、普段僕たちがバラエティ番組で観るそれとは、ちょっとだけ違っていた。(文:松本ミゾレ)
市街地をうろつくコミュ力の高さに感嘆
高田純次がアジアの色んな街をぷらぷらと散策するというこの番組。一応現地のガイドさんも同行するんだけど、「このガイドさん、必要?」と思える場面が結構多い。というのも、高田は常にガイドを後ろに歩かせ、自分が先頭に立ってズンズン進んでいくのだ。
さすがは芸能プロダクション「テイクワン・オフィス」の社長という顔を持つ男。知らない土地であろうと物怖じすることもないようで、自分が気になった物に出くわしたときも、率先して近づいていく。
ましてや街頭ロケといえば高田、という時代もあったわけだし、変な扮装をして散々日本中を練り歩いていた。果てはオーストラリアの住宅街でバズーカを乱射し、指名手配されるという痛快エピソードの持ち主なのだから、彼にとって海外を散策するなんて屁でもないことなのだろう。
買い物の際には露天商に日本語で執拗に値切ってみせたり、屋台の揚げ物を口にして「醤油つけたらうまいよ」と言って食べかけをスタッフに押し付けたりのやりたい放題。高田的には特に笑いを狙っていない言動っぽいし、トーンも普通なんだけど、
「ああ、どこに行ってもこの人はこの人なんだなぁ」
と思えて、なんだか無性に面白く感じた。
高田=神童説が垣間見られた「計算」と「演奏」
さて、高田は子どもの頃、近所の人たちから「神童」と呼ばれていたという逸話がある。どうもそれは事実のようだ。ロケ中にたまたま立ち寄った楽器店に入った高田は、飾られている売り物の楽器を見て「これはいくら?」と質問した。
現地の通貨での価格を聞かされると、「すると2万円か」と1秒ほどで日本円に換算してみせる。それだけならただ旅行慣れしている日本人でもできることだが、このあとが凄い。
展示品のピアノを見つけると、即興で演奏を実演。フォスターの「スワニー河」を軽々と弾いてみせる。え? この人って楽器もできたの!? 一体彼は、どれだけのキャパを秘めた人物なのだろう。
30分番組なので割と駆け足な内容だったんだけど、要所要所でコメディアンの顔を見せる高田は健在。現地の若い女の子に「ハイスクール? ハイスクール?」と連呼していた。
完全に無視された直後に「チャイが100円ってのはいいよね」と全く関係ない話題に徹したり、雨天のロケに少しだけ文句を口にしたり。
終始高田のペースに翻弄されるスタッフに同情
極めつけは番組終盤。ラストはどこかの海の見える場所での収録だったんだけど、ここでもダウンジャケットを着たまま「あ、じゃあ最後に飛び込みましょうか」と脈絡なく提案する高田。
終始高田のペースに翻弄されるような展開が続くので、面白かったんだけど視聴後はなんか疲れを感じたのも事実。これ、一緒にいるスタッフさんやガイドさんはもっとくたびれたんだろうなぁ。
この人の若さの秘訣って、前から気になってるけど、ひょっとすると周囲の人からちょっとずつ生命エネルギーを失敬しているんじゃないだろうか? 68歳のタレントとは思えないバイタリティには、まさしく脱帽する他ない……。
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