2015年06月11日 11:11 弁護士ドットコム
少年たちが、どこまでも続く線路を歩いていくーー。映画「スタンドバイミー」のような光景にあこがれる人もいそうだが、現実社会では、京都市山科区の京阪京津線・山科~四宮間で、住民たちが「抜け道」として線路を歩くケースがあいつぎ、問題になっている。
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報道によると、問題となっているのは、住宅地にある京阪電鉄京津線の3カ所の踏切区間。各踏切の間は約15メートルと約40メートルで、近くの駅が見通せる。線路を歩けば、道路を歩く場合と比べて、駅まで100メートルの近道になるため、線路の中を通り抜けるケースが後を絶たないそうだ。
今年5月下旬には、同区間で線路内を無断で通行したとして、鉄道営業法違反の容疑で72歳の男性が書類送検され、高校2年の女子生徒が家裁送致された。線路内に立ち入ることは、どんな罪にあたるのだろうか。岡田一毅弁護士に聞いた。
「線路については、鉄道営業法37条で、みだりに立ち入ることは許されないことになっています」
岡田弁護士はこのように述べる。車が走る道路に立ち入る場合と、何か違いがあるのだろうか。
「道路についても、歩行者進入禁止のところに入ると、道路交通法8条1項違反として処罰されることになります。
道路は、歩行者と車両が共用されることが一般的な状態です。したがって、特に車両通行の妨げとなり、歩行者の安全が確保できない場合にかぎって、例外的に禁止するという形態をとっていると考えられます。
道路も鉄道も、いずれも歩行者の危険の防止、道路交通・鉄道交通の安全の確保のため、立ち入りを処罰しています。線路に立ち入った場合だけが、特に厳しく処罰されているというわけではありません」
線路に立ち入った場合、罪の重さはどの程度なのだろう。
「鉄道営業法37条によると、鉄道施設などの立ち入り罪は、刑罰としては一番軽い『科料(1000円以上9999円以下)』というものとなっています。線路への立ち入りにも適用されます。
もっとも、単純に立ち入るだけではなく、線路に置き石をしたり、標識を壊したりして、鉄道の往来の危険を生じさせた場合は、往来危険罪(刑法125条)として処罰されます。
たとえば、踏み板を勝手に線路に設置して、それが浮いていて車輪に当たるなどの場合は、往来危険罪で処罰される可能性もあり得ます」
岡田弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
岡田 一毅(おかだ・かずき)弁護士
2013年度京都弁護士会副会長。交通事故などの交通法務に詳しく、大手損保会社の顧問弁護士も勤める。また医療法人の顧問弁護士など、医事法務についても手がけている。大の鉄道好きでもある。
事務所名:赤井・岡田法律事務所
事務所URL:http://www.akai-okadalaw.com/