2015年06月10日 16:41 弁護士ドットコム
高層マンションの部屋から水が入ったペットボトルを落とし、通行人にケガをさせたとして、警視庁月島署は6月10日、傷害の容疑で、マンションに住む16歳の少年を逮捕した。
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報道によると、少年は7日午後、東京都中央区のマンションの高層階から、水が入った2リットルのペットボトルを落とし、通行中の30代女性に打撲などのケガをさせた疑い。少年は容疑を認め、「投げればケガをさせることは想像した」と話しているという。
今回は、特定の人を狙ったわけではなさそうだが、それでも罪になるのだろうか。また、仮にうっかり植木鉢などを落としてしまったような場合も、罪に問われるのだろうか。刑事事件に詳しい冨本和男弁護士に聞いた。
「誰か特定の人を狙ってペットボトルを落としたわけではなくても、『ここから落とせば誰かにケガをさせることになるかもしれないし、そうなっても構わない』と考えていれば、『未必の故意』が認められます。
歩行者にペットボトルの破片があたり、ケガをさせれば、傷害罪に問われることになります」
冨本弁護士はこのように述べる。ペットボトルが実際に歩行者にあたらなければ、問題にならないのだろうか。
「『人にあたっても構わない』という認識のもと、ペットボトルをマンションから落としているのであれば、実際にあたらなくても、『人に対する有形力の行使』として暴行罪に問われる可能性があります。
今回は水入りのペットボトルでしたが、より重量や殺傷力のある、バーベルや刃物といった危険な物を落としたケースであれば、殺人未遂に問われる可能性もあります」
誰かにあてる意図はなく、うっかりベランダなどから物を落としてしまい、通行人にケガをさせたようなケースは、どう考えればよいだろうか。
「誰かにあてる意図はなくても、実際にケガをさせたのであれば、過失致傷の罪に問われる可能性があります。
私も、先日マンションの非常階段で、段差の隙間からカサを下に落としてしまい、ヒヤッとした経験があります。幸い下に人も物もなかったので何事もありませんでしたが、『うっかり』ではすまない結果になることもあります。
高層マンションに住む人は、誰かに危害を加えることのないよう、ベランダなどでの物の取り扱いには、十分注意したほうがよいでしょう」
冨本弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp