5月の後半から最高気温が25度以上になる夏日が増えた。ときには30度以上の真夏日を迎えることも。6月に入ると大手企業を中心に、オフィスの空調設定温度を上げて軽装にする「クールビズ」を実施しているところも出ている。
半袖ワイシャツにノーネクタイという装いも珍しくなくなったが、日経ビジネスオンラインには、営業職で「トップセールスになりたい」のであれば「半袖シャツはやめた方がいい」というコラムがあがり、話題となっている。
洋服を着込むのは「パワーがある証拠」と説明
コラムのタイトルは「どうしてクールビズでも、営業は『半袖シャツ』を着ない方がいいのか?」。筆者の横山信弘氏は「営業目標を絶対達成する」指導を手がけるコンサルタント。経験に裏打ちされた厳しい内容のコラムは、各方面から高い評価を得ている。
横山氏は、営業成績ナンバーワンの課長と部下との会話形式で、業績が上がるノウハウを紹介。部下が「トップセールスになるコツ」を尋ねると、課長は「一つに絞るのは難しい」としながら「何と言っても『説得力』だな」と答える。
相手を説得できる強さが「体から溢れていないと駄目」という課長。そんなオーラを出すために、明日から始められる方法があるという。その答えこそが、「その半袖シャツを着るのをやめたまえ」というものだ。
課長は、戦国武将は「位が上になればなるほど厚着をする傾向があるだろう」と問いかけ、西欧でも「洋服を着込むのはパワーがある証拠」とみなされてきたと説明する。
「マフィアが出てくる映画を見てみたまえ。ボスはスーツをビシッと着こなしている」
課長は「ユニフォーム効果」という言葉を使い、ラフな格好をする人と比べて「きちんとした服装の人から聞いた方が説得の効果が高い」という説を紹介している。
「成功してるビジネスマンに半袖の人は少ない」と賛同も
記事の最後に横山氏は「全員が長袖シャツを着るべきだなどと言っているわけではありません」と言うが、「自分の限界に挑戦し、それを超える喜びを味わおうとする営業」は「一定の緊張感を維持したまま、顧客の前に姿を見せるべき」だと主張している。
このコラムが6月9日に公開されると、ネットでは数多くの異論があがった。横山氏の言わんとすることは理解できるが、それでも「長袖・ジャケット」にこだわる必要があるのかと疑問視する意見が目に付く。
「いや、それを踏まえた上でのクールビズ運動じゃないのかな」
「真夏にスーツを着た営業を見てうれしい客なんてのは、立場が下の者に理不尽につらい思いをさせて優越感を感じるアホな客だけだと思うんだけどな」
コラムに登場するユニフォーム効果についても、「アロハ+長髪+サングラスがユニフォーム効果だす業界もあるしね」とツッコミの声が。「イタリアのマフィアとか半袖シャツ上手に着こなしてるよ」という書き込みもあったが、真偽のほどは確認できなかった。
一方、コラムの内容に賛同するコメントも。数多くの経営者と面談しているファンドマネジャーの藤野英人氏は、ツイッターで「服装は自由でいいよ。半袖シャツが好きならそうすればいい」としつつ、自らのこんな経験を述べている。
「でも、確かに、半袖シャツの人は見る限りイケてない人が多い。少なくとも、成功してる社長とかビジネスマンに半袖の人は少ないなあ」
「非エコ無駄文化」はこうして受け継がれるのか
また、横山氏は解説で、1970代半ばに出版されたベストセラーに「半袖シャツの上司は部下から軽く見られる傾向がある」と書かれていたと紹介している。しかし現在のクールビズは、省エネルギーなどの現代的課題から導入されているものだ。ネットユーザーからは、
「厚着して冷房みたいな非エコ無駄文化を断ち切るにはどうしたらいいんだろう。世代交代で変わるかと思ってたけど、こうして受け継がれちゃうんだろうな」
とガッカリする声も聞かれた。
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