『フリオ・ゴンサレス展』が、7月20日まで長崎・長崎県美術館で開催されている。
1876年にスペイン・バルセロナで生まれたフリオ・ゴンサレスは、「鉄彫刻の父」とも称されるアーティスト。父の工房で10代の頃から金工職人として修業を積んでいたゴンサレスは、金工を生涯の収入の糧にする一方で、バルセロナを中心に起こっていた総合的な芸術のムーブメントに触れ、父の死後には画家を志してパリに移住。いくつかの展覧会に油彩画を出品した後に、自らの進む芸術の道を彫刻に定め、古くからの友人であるピカソとのコラボレーション作品を制作した。50代半ばに彫刻家として本格的に活動をはじめ、晩年までの10年あまりの間に、「物質と空間の不可分な結合により生み出される彫刻」というコンセプトのもとで数々の作品を手掛けた。
スペインのバレンシア現代美術館および著作権継承者のフィリップ・グリマンジャーの所蔵品によって構成される同展は、鉄のオリジナル作品をはじめ、1910年代に作られた最初期の作例や1930年代の石の直彫り作品を含む彫刻55点、金工細工、ドローイングなど総数約100点の作品から、20世紀の彫刻の歴史にゴンサレスが残した足跡を紹介していく。
なお、同展は8月1日から岩手・岩手県立美術館、11月28日から東京・用賀の世田谷美術館、2016年2月9日からは三重・三重県立美術館で開催される。