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F1カナダGP分析:油断大敵のメルセデスとフェラーリの策

2015年06月08日 06:30  AUTOSPORT web

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優勝争いの本命はメルセデスだが…
初日とは対象的に絶好のドライコンディションで行われたカナダGPの予選は、再びチームメイト対決を制したルイス・ハミルトンがポールポジションを獲得しました。

 金曜日2回目のフリー走行が雨で実質30分のセッションとなったため、各チームは予選前のフリー走行(FP3)でスーパーソフトのロングランや予選シミュレーションを行うことになりました。しかし、そのFP3はセッション終盤に2度の赤旗が出てしまったため、遅めのスタートを切ったハミルトンなどは予選アタックのシミュレーションに入れず、やや準備不足の状態でニコ・ロズベルグとのポール争いを迎えることになりました。

 それでも、終わってみればハミルトンが危なげない形で通算44回目となるポールを獲得する結果に。逆に、FP3でスーパーソフトのアタックをしっかりと行ったロズベルグが、チームとのコミュニケーションミスから満足のいくアタックを行えないという形になってしまいました。

 メルセデスは2週間前のモナコでも戦略の判断を誤り、レースを支配していたハミルトンから勝利を奪うミスを犯しています。その影響が今週末も尾を引いているということはないでしょうが、戦略面でのもろさはいまだに拭いきれていません。中国GPでもハミルトンがペースダウンしたとロズベルグが不満を述べるなど、ドライバー間の内紛も依然くすぶっているので、チームメイトバトルが予想される決勝も決して油断はできません。

 一方、キミ・ライコネンが3番グリッドを獲得したフェラーリ陣営は、上記のようなメルセデスのミスにつけこむためにも、まずはスタートで3番手のポジションを死守しなければなりません。しかも今週末のフェラーリSF15-Tは、フリー走行におけるレースペースでメルセデス勢を脅かすタイムを記録しています。
 そのペースはメルセデス勢も「危険」と警戒感を示していますし、加えてストップ&ゴーのジル・ビルヌーブはオーバーテイクも可能なサーキットです。予選ではすべてのセクタータイムでメルセデスがトップ2とコース上で彼らをオーバーテイクすることは極めて難しいのは確かですが、粘り強く後方につけ勝負所で素早い戦略決定を実行することができれば、メルセデスと優勝を争う可能性もより広がるでしょう。

 惜しまれるのは、ERSのトラブルで予選Q1敗退を喫したセバスチャン・ベッテルです。現時点で18番グリッドからのスタートと、非常に厳しいポジションと言わざるをえません。仮に、比較的導入率の高いセーフティカーによってポジションを一気に上げるチャンスが生まれたとしても、それまでに要する労力は大きいはず。ただ、幸いなことに今回持ち込まれたソフトとスーパーソフトはこれまでのデータからもデグラデーションの値が少ないことが明らかですから、極端な1ストップ戦略など、ギャンブル的な策に出るのもひとつの手かもしれません。

 もうひとつ、予選で見事5、6番手を獲得したロータスの戦いにも注目したいところです。E23のロングランペースは予選4番手につけたバルテリ・ボッタスのウイリアムズFW37を上回っており、予選での各セクタータイムもかなり拮抗しています。不要なトラブルやアクシデントを回避することができれば、メルセデスのパワーユニットを武器に一気に大量ポイントを手にすることも可能でしょう。

 最後にマクラーレン・ホンダですが、事前の予想に反してレースペースは意外にも期待できるタイムが記録されています。ですが、土曜日にトラブルが相次いだように今週末は信頼性の不安が非常に懸念されています。ですので、まずは2台ともトラブルなくチェッカーを受けること。これが、レースにおける最大の目標となるでしょう。

(F1速報)