フォーミュラE第9戦モスクワePrixの解説として、テレ朝チャンネルの中継にゲストとして登場した山本左近。その際、左近の口から「フォーミュラEの最終ラウンド、ロンドンePrixに参戦する」旨が発表された。
ロンドンePrixは、フォーミュラE最初のシーズンの最終戦として、レース1とレース2が6月27日と28日に行われる。この日はドイツのノリスリンクでDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)も行われるため、DTM参戦中のアントニオ・フェリックス・ダ・コスタは、アムリン・アグリのマシンに乗ることができない。そこで、左近にドライブの打診があったのだという。
「最終戦のシートがひとつ空くということは、チームから聞いていました。そして、日本のチームに日本人ドライバーが乗れたらいいねという話をしていたんです。しばらく話の進展はなかったんですが、一昨日(6月4日)に正式に契約を交わしました」
左近は今年の3月10日に、アメリカのマイアミ・ホームステッドでフォーミュラEのドライブを経験していた。
「フォーミュラEはモーター駆動なので、今までののフォーミュラカーとは全く違う感覚のマシンです。特にリヤが重くて、フォーミュラとGTの中間といった印象のクルマですね。そのマシンで狭い市街地コースを走るというのは、非常にチャレンジングです」
まったく新しい感覚のフォーミュラカー。そのマシンに、左近は大きな可能性を感じているという。
「フォーミュラEは21世紀のモータースポーツにおいて、重要な地位を占める存在だと思います。どこでも使われている“電気”を使うレースですから。そんなマシンに、最初のシーズンの最終戦という、歴史的にも非常に重要なレースに乗れるということは、日本人ドライバーのひとりとして非常に嬉しいし、誇りに思っています」
医療従事者としての顔も持つ左近。フォーミュラEの存在は、医療機器の進歩にも寄与するはずと話す。
「フォーミュラEは、クルマだけではなく、様々な分野の電子機器の発展にも繋がると思います。医療の世界では、クルマ椅子とか、電動ベッドとか、介護ロボットなどが使われています。しかし、それらは大きくて、非常に重い。フォーミュラEの進歩によってバッテリーの開発などが進めば、非常に小型で軽い医療機器ができるはずです。クルマ椅子が軽くなれば、気軽に出かけることができるようになるし、医療の仕事に従事する人たちの負担も減ると思います」
左近が実際にレースに参戦するのは、2010年のF1韓国GP以来。実に5年ぶりの実戦となる。不安はないだろうか?
「もちろん、準備しなければならないことはたくさんあります。でも、マイアミでフォーミュラEのテストに乗る前から、トレーニングをしていました。レースに復帰したいなと思っていましたし、自分の健康面のことも考えてね。マイアミで乗って感じたのは、フォーミュラを運転する感覚は、そう簡単に忘れるものはないということ。レギュラーで出ているドライバーとは経験面などの差はあると思いますけど、久々のレースだからといって、遅くていいなんて思っていません」
左近はまずは日本でフォーミュラEのシミュレータに乗り、マシンとコースの習熟に務めるという。
「(鈴木)亜久里さんには、『大丈夫? 危ないよ』と言われました(笑)。でも、それは承知の上です。出るからにはベストを尽くします」
フォーミュラEのロンドンePrixは、6月27日と28日にロンドンの市街地コースで行われる。このレースで、久々の実戦復帰となる左近はどんな走りを見せるのだろうか?