2015年06月06日 12:51 弁護士ドットコム
医師の資格がないのに「レーザー脱毛」を行ったとして、愛知県警は5月末、同県岡崎市にあった診療所の元経営者の女性を、医師法違反の疑いで逮捕した。元経営者は容疑を認めているという。
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報道によると、元経営者は2012年12月から翌年7月までの間に、医師の資格をもっていないのに、男女3人に計9回「レーザー光線を照射して脱毛する」医療行為を行った疑いがもたれている。
「レーザー脱毛」を医師の資格がない人が行うことには、どんな問題があるのだろうか。厚生労働省医政局医事課の担当者に話を聞いた。
「医師がいないクリニックやエステサロン等で、医師ではない人がレーザー脱毛を行うことは一切禁止されています。2001年11月8日に厚労省医政局医事課長が出した通達が、その根拠です。
この通達では、『レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する』という脱毛方法は医療行為にあたるため、『医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反する』としています」
各都道府県の衛生主管部(局)長にあてられたその通達には、「最近、医師免許を有しない者が行った脱毛行為等が原因となって身体に被害を受けたという事例が報告されており、保険衛生上看過し得ない状況となっている」と、通達が出された背景が書かれている。
「レーザー脱毛」は、脱毛効果が高いものの、やけどなどのケガを負うリスクもある。そのため、美容目的の行為であっても、医師の関与が必要になってくるのだ。
最近は、美容皮膚科などの医療機関でレーザー脱毛を行っているところも珍しくない。しかし、実際に美容皮膚科クリニックで施術をうけたことがあるという東京都内に住むJ子さん(30代)は、こんな疑問を口にする。
「施術前後に、トラブルがないか医師が簡単に施術部分の皮膚をみるだけで、肝心の施術は隣室の処置室で、看護師さんにされました。部位によってはピクッとするような痛みを感じるので、怖かったです」
「医師」ではなく、看護師がレーザー脱毛の施術を行うことに問題はないのだろうか。
厚労省の担当者によれば、「医師の指示を受けたうえで、看護師が施術を行うのであれば、問題ありません。なお、看護師が施術する現場に医師が立ち会う必要はありません」という。
「ただし、看護師が医師の指示を受けずに、独断でレーザー脱毛を行うことは許されません。『保健師助産師看護師法』の37条では、看護師は医師の指示がなければ、診療機械の使用や医薬品の受け渡しなどの行為はできないと定められており、違法です」
つまり、医師の指導さえうければ看護師がやることは「合法」。しかし、看護師資格をもつ女性であっても、医師のいないエステサロンでレーザー脱毛をおこなえば、「違法」となるのだ。
リスクのある脱毛方法だけに、施術をうける施設は、慎重に選んだほうが良いだろう。
(弁護士ドットコムニュース)