テキサス・モータースピードウェイで行われているベライゾン・インディカー・シリーズ第9戦『ファイアストン600』。6月5日にはその予選セッションが行われ、チーム・ペンスキーのウィル・パワーがポールポジションを獲得。午前中のプラクティスで3位につけ、上位進出が期待された佐藤琢磨(A.J.フォイト)は、13位に終わっている。
毎年猛暑の中で予選、決勝ともに行なわれるテキサス。今年も予選は気温34度、路面55度という暑さの中で行われた。
エントリーした23台はクジ引きでアタック順を決定。最初にコースインしたのはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)で、2ラップ平均218.519mphを記録した。そして、このパワーのタイムを破る者は、最後までとうとう現れなかった。
昨年の勝者エド・カーペンター(CFHレーシング)は2番目にアタックに出たマシンだったが、今年はマシン・セッティングが決まっておらず、チームメイトのジョセフ・ニューガーデンともども苦戦。最終的にニューガーデンが14位、カーペンターは15位に終わっている。
ファン-パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)は4番目にアタック。パワーに迫りこの時点での2番手につけたが、徐々にポジションを下げ、5番グリッドに落ち着くことになる。8番目のアタッカー、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)はモントーヤを上回ったが、パワーには届かず2番手。
朝のプラクティスで最速だったサイモン・ペジナウ(チーム・ペンスキー)は、1周目はパワーの2周平均を上回る218.744mphをマークしたが、1周目より2周目を速く走るのは極めて難しい状況で、彼の2周目は218.139mphまでダウン。平均スピードは228.441mphとなり、惜しくも2位となった。パワーとの差は2周合計で0.017秒と、非常に小さかった。
ペジナウのアタックが終了した時点で、トップ4はペンスキー勢が占めていたが、最後のアタッカーであるカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)が217.831mphをマークし、4番グリッドを獲得。ペンスキー勢の一角に食い込んだ。それも、母国の英雄モントーヤを上回っての2列目グリッド獲得であり、ホンダ勢のベストグリッドでもある。
パワーはこれで今シーズン3回目のポールポジション獲得。ペンスキーのPP獲得はシリーズ第9戦目までで予選が行なわれた7レースのうち6回目だ。そしてパワーは、テキサスでの3年連続PPである。そして、パワーの通算PPは40回(オーバルでのPPは7回目)の大台に乗り、リック・メアーズと並んでインディカー歴代5位タイとなった。
「クジ引きで1番を引いた時には路面コンディションのことが気がかりだった。しかし、実際の路面は2ラップを通して安定していた。トップ5に入れたら嬉しい……と考えていたので、ポール獲得は本当に喜んでいる。レースはどれだけのダウンフォースで行くかが問題。スピードのロスとグリップの、ベストの妥協点を見出したチームが速いだろう」とパワーは予選後に語っている。
ペンスキー軍団が圧倒的パフォーマンスを見せ続ける2015年シーズン。ライバルのチップ・ガナッシ・レーシングは今回も、7、8、9、10番手と苦戦している。ペンスキー勢との間に割って入ったのはムニョスとグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)だった。
ムニョスは、「チームメイトふたりが先に走ったので、その情報を貰えた。彼らが予選で何をトライし、どんな風に走ったかを知ることができたので、それを参考にして走った。アタック順が遅かったのが良かった。彼らの助言に感謝する」とコメント。「予選ではシボレーが速いが、彼らとのスピード差はレースでは減るものと考えている」と、ホンダ勢としても意気込みを語っている。
プラクティスで3番手につけていた佐藤琢磨(A.J.フォイト・レーシング)の予選には、チームの地元州でのレースでもあり大きな注目が集まっていた。しかし、思いのほかスピードが伸びず13番。
「ダラーラのメイン・プレーンを使うパッケージ、僕らはリヤのウイングレットを外して予選に臨んだのですが、マシンのハンドリングは良かったものの、ダウンフォースをつけ過ぎていたのかも……。もっとアグレッシブに削ってくべきでした。気温も高かったし、そうした判断を下すのは難しかったです。グリッドは良くないけれど、テキサスはオーバーテイクができるオーバルだから、決勝用セッティングを考えて頑張ります」と琢磨は語った。
■インディカー第9戦ファイアストン600予選結果
1. W.パワー(チーム・ペンスキー/シボレー)218.519mph
2. S.ペジナウ(チーム・ペンスキー/シボレー)218.441mph
3. H.カストロネベス(チーム・ペンスキー/シボレー)218.069mph
4. C.ムニョス(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)217.831mph
5. J-P.モントーヤ(チーム・ペンスキー/シボレー)217.53mph
6. G.レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン/ホンダ)217.438mph
7. S.ディクソン(チップ・ガナッシ/シボレー)217.411mph
8. T.カナーン(チップ・ガナッシ/シボレー)217.337mph
9. C.キンボール(チップ・ガナッシ/シボレー)217.323mph
10. S.カラム(チップ・ガナッシ/シボレー)216.92mph
11. M.アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)216.876mph
12. J.ジェイクス(シュミット・ピーターソン/ホンダ)216.864mph
13. 佐藤琢磨(A.J.フォイト・レーシング/ホンダ)216.686mph
14. J.ニューガーデン(CFHレーシング/シボレー)216.21mph
15. E.カーペンター(CFHレーシング/シボレー)216.197mph
16. T.ボーティエ(デイル・コイン・レーシング/ホンダ)215.929mph
17. J.ホークスワース(A.J.フォイト・レーシング/ホンダ)215.621mph
18. S.ブルデー(KVSHレーシング/シボレー)215.303mph
19. R.ブリスコ(シュミット・ピーターソン/ホンダ)215.162mph
20. G.チャベス(BHA/ホンダ)215.146mph
21. R.ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)215.026mph
22. P.マン(デイル・コイン・レーシング/ホンダ)214.654mph
23. S.コレッティ(KVレーシング/シボレー)211.93mph
(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)