WRC世界ラリー選手権コミッション代表のカルロス・バルボサは、先月のWRC第5戦ポルトガルでロレンツォ・ベルテリ(フォード・フィエスタRS WRC)がクラッシュした際の対応に一切問題は無かったと語り、ベルテリの批判に対し怒りをあらわにした。
ベルテリは、ラリー・ポルトガルのSS10走行中にクラッシュ。このアクシデントでベルテリは、マシンのロールケージに頭部をぶつけたにも関わらず、適切な対応が行われなかったとして大会主催者を批判している。
ポルトガル自動車協会の議長も兼任しているバルボサは、この批判に対し「ベルテリは早く母親の腕に抱かれたかったのだろう」とコメント。ベルテリの母、ミウッチャ・プラダはイタリアの有名ブランド“プラダ”創業家3代目で、同ブランドのチーフデザイナーを務めている。
「ベルテリは我々に競技を中断するよう迫ってきた。競技が中断されれば、ヘリコプターで母親が迎えに来てくれる。救護班を待つ必要がなくなるわけだ」
「おそらく、イタリアではそうやって生きてきたのだろう。しかし、ポルトガルではそうはいかない」
アクシデントが起きた現場に居合わせた救急隊員の対応についても、バルボサとベルテリの間で意見が食い違っている。
「クラッシュの後、ベルテリには救急隊員を付けていた。彼は5分か10分おきにベルテリの容態を知らせてきた」とバルボサ。
「ベルテリの容態に問題はなかった。ただ彼は興奮していたし、待たされることに苛立ちを覚えていたようだ。自分はプラダの息子だから、誰でも言うことを聞くと思っているのだろう」
このコメントに対し、ベルテリは「クレイジーだ」と語り、主催者側の対応を批判した。
ベルテリは「クラッシュから20分くらい経ってから、急に具合が悪くなって地面に倒れ込みそうになった。だから、コドライバーのジオ(・ベルナッチーニ)にSOSボタンを押すよう頼んだんだ」とコメント。
「あんな症状が出たのは生まれて始めてだった。僕は医者じゃないけれど、普通の状態ではなかったことは確かだ」
「2時間くらい経ってから、近くにいた救急隊員が主催者を呼びに行ってくれたけど、さらに1時間か1時間30分待つように伝えられたよ。SOSボタンを押したら、迅速に対応が行われると思うだろう? にも関わらず、大会主催者側は一切行動を起こさなかった」
「母は心配していた。僕は頭を負傷していたから、当然だよ。彼女は主催者のところへ行って、競技を中断し僕を病院へ送るよう頼んでくれた。とにかくおかしな状況だった。2度と同じことが起きないよう願っているよ」