世界の革新的なテクノロジーベンチャーを選ぶ「2014 Red Herring Top 100 Global」には、日本から7つの会社が選ばれた。東京・渋谷にオフィスを構える従業員17人の「トリッピース」も、そのうちの一社だ。
主力事業のソーシャル旅行サービスは、創業4年で会員数約19万人、年間2万人以上が利用するサービスに成長。新たに立ち上げた旅行キュレーションメディアも好調だという。広報の林さんに、会社の様子をレポートしてもらった。
ユニークな旅が並び、やりたいことが探せる
当社の中核事業は、みんなで旅をつくるソーシャル旅行サービスの「トリッピース」。旅行好きな人たちが集まり、自分たちが立てた企画で旅行に行けるサービスです。
旅の流れは、誰かが「行ってみたい旅の企画」を投稿すると、それを「面白そう!」と思った人たちが集まります。5人以上集まったら、「いついこうか?」「なにしようか?」とみんなで話し合って詳細を決め、提携旅行会社に企画をツアー化してもらえるのです。
このサービスは社長の石田言行が学生時代にSNSを通じて集まった人たちとバングラデシュ旅行をした体験に着想を得て、2011年3月に「どこにもない旅を、みんなでつくる。」をコンセプトに創業しました。
サイトを眺めているだけでも、「無人島を貸し切って映画上映会をしよう!」とか「象使い体験をしよう!」といったユニークな旅が並んでいて、次の行き先ややりたいことを探すきっかけになります。のべ旅行者数は2万人を突破しました。
いまトリッピースの中で盛り上がっている企画のひとつに「トリッピース村」プロジェクトがあります。埼玉県見沼市の田んぼや畑を農家さんから委託を受け、ユーザーたちと一緒に田植えや野菜づくりを行い、みんなで村を作りあげていくプロジェクトです。
限定150名の村民募集では、即日キャンセル待ちが出る状態に。人気の高さがうかがえます。プチ田舎暮らし体験を通して地域に興味をもち、都会からの移住やIターン・Uターンを考えるきっかけにしてもらえたら、と思います。
半年に一度の「社員旅行」で絆を深める
当社では、社員がトリッピースのサービスを気軽に使えるよう「企画補助制度」を導入しています。大手旅行代理店にはない旅や面白い旅を企画するなど一定の条件の下、企画に必要な費用を会社で負担するものです。
社員には旅行好きが多く、現場でユーザーの生の声を聞き、自分自身もユーザー体験をする中での気づきをサービスや企画に反映させています。
社員交流のために、半年ごとに社員旅行を実施。今年1月には長野県の戸狩温泉にスキーと温泉旅行に行きました。旅行の幹事はトリッピースを活性化するコミュニティマネジャーが担当。考え抜かれたチーム対抗でのレクリエーションを通して、社員の絆は深まり、大満足の社員旅行となりました。
また当社では、旅・おでかけ情報を伝えるキュレーションメディア「RETRIP(リトリップ)」を2014年6月から運営しています。地域やお出かけ情報などをまとめ形式で紹介できるサービスで、2015年4月末時点で月間数百万UUを実現し急成長しています。
鹿児島・百合が浜のサンドバーをRETRIPが紹介した記事は175万PVを突破し、現地で観光に携わる人から「例年より観光客が増えた。ネット記事を見て来たという人が多い」といった声もいただきました。日本や世界の知られていない魅力を発信することで、読者に新しい体験を届け、国や地域の活性化につなげていけたらと思っています。
「強い組織づくり」に向けてゼロから制度見直し中
現在当社の社員は、創業メンバー数人を含めて17人。社長の石田が一人ひとりと直接コミュニケーションを取れる人数を超えつつあります。そこで会社はより強い組織を作っていくために、会社のバリューや人事制度を見直すべくゼロから話し合いを重ねています。
本音で話し合うあまり、ときには社員同士でぶつかり合うことも。ギスギスした雰囲気になりそうなときは、会議の前に社員を褒め合うゲームをして場を和ませるなど、当社らしいアプローチで取り組んでいます。
当社はこれからも新しい旅行体験を文化にするために邁進していきます。最終的にはサービスをグローバル化し、旅行に参加するメンバーが全員違う国から集まるようなサービスにしたい。国籍や言語の壁も超えて仲良くなれるような「好きで隔たりのない世界」を作っていきたいと思っています。
【プロフィール】トリッピース広報 林 沙友里:1988年生まれ。群馬県出身。大学卒業後、広告系旅行会社での企画営業経験を経て、2014年11月にトリッピースに入社。広報やマーケティング、アライアンスと幅広い業務を担当。ベンチャー企業の魅力を日々PRする「なでしこ広報会」(主宰:栗田朋一・東京PRアカデミー代表)に参加している。
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