トップへ

F3モンツァで大クラッシュ、カオスな状況に陥る

2015年06月02日 23:50  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

激しく横転した後、高々と宙を舞ったランス・ストロールのマシン
先週末にイタリアのモンツァで開催されたヨーロッパF3選手権の第4戦は、フェラーリ育成ドライバーのランス・ストロールが大クラッシュに巻き込まれるなど多数のクラッシュが相次ぎ、第3レースが早期に打ち切られる異例の事態となった。

 この週末のモンツァで最も衝撃を呼んだのは土曜日の第2レース中に起きたストロールの宙を舞う大クラッシュだ。
 レース3周目に選手権リーダーのアントニオ・ジョビナッツォと5番手争いを繰り広げていたプレマパワーのストロールは、3コーナーへのアプローチでアウト側を走っていたジョビナッツォと接触。運悪く斜めに浮き上がった彼のマシンは、激しく横転しながらガードレールに接触すると、その反動で高々と宙へ舞い上がって、無造作にグラベルへと叩きつけられた。

 奇跡的にも16歳のストロールに大きなケガはなく、彼は翌日の第3レースにも出場を果たしているが、この第2レースは9周目にもストロール同様の横転するクラッシュが発生。さらにその後も1コーナーで別のクラッシュが起きるなど、結局レースは規定の75パーセントに満たない周回数で赤旗打ち切りとなってしまった。

「説明するのは難しい。本当に一瞬の出来事だったんだ」と、ストロールはクラッシュの状況をこう振り返っている。
「彼がどこにいるのかはっきりと把握できていなかった。左側にある大きなエアボックスによってミラーでも確認するのが難しいんだ」
「ただラインをキープしようとしたけど、少しもつれてそれ以上スペースがなかった」
「一瞬の出来事で、宙を舞っていたよ」

 FIAのシングルシーター委員会会長を務める元フェラーリF1チーム代表のステファノ・ドメニカリは、当時モンツァにはいなかったものの、第2レースの状況について激怒していたと言われており、この日急遽レースディレクターを務めることになったニルス・ウィティヒは、土曜の夜にドライバーとチームマネージャーを呼んで緊急ミーティングを開催。そこで、以降もドライビングの改善がみられなければ、セーフティカーのもとでレースを終了すると警告していた。

 しかし、迎えた日曜の第3レースではオープニングラップで早くもクラッシュが発生。4周目にレースが再開されたが、直後の6周目に1コーナーのシケインで別のドライバーが他車と接触するアクシデントを起こし、レースは再びセーフティカー先導となった。

 レースディレクターのウィティヒは、悪質なドライビングに起因するアクシデントが発生した際は、セーフティカー先導でレースを続けることになっていたと語っているが、すでにその時点でレースタイムの35分間に規定周回数の75パーセントに達するのはほぼ不可能な状況だったことやドメニカリから強い口調で指示を受けていたため、スチュワードとの話し合いを受けて、8周終了時点でレースを打ち切る決断を下した。

「私はスチュワードと話し合ったが、彼らはこれ(レースを断念するのが)が唯一の方法だと言った」とウィティヒ。彼は、ドライバーたちがこの事実を受け入れるなら、決してモンツァの高速特性がアクシデントの原因にはならないと語った。
「このシリーズのドライバーはこのような(高速)トラックにも対処できなければならない」

 結局、規定の周回数に達しなかった第2レースと第3レースは、レギュレーションに沿ってハーフポイントが与えられることとなったが、3レース合わせて8度のセーフティカーが出動する事態となった今回の週末は、若い彼らがお互いへの敬意を再認識しなければならないものとなった。