2015年06月02日 20:31 弁護士ドットコム
環太平洋連携協定(TPP)により、憲法が保障する幸福追求権や生存権、知る権利が侵害されるとして、交渉差止めや違憲確認などを求める集団訴訟を起こした山田正彦・元農林水産大臣らが6月2日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いた。
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集団訴訟を起こしたのは1000人以上の原告で構成される「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」。元日本医師会会長の原中勝征氏が代表をつとめ、山田氏が幹事長に就任している。5月15日に国を相手取って、東京地裁に提訴。山本太郎参院議員も原告に加わるなど、大規模な訴訟として注目を集めている。
会見では、弁護団共同代表をつとめる岩月浩二弁護士が、TPPが締結されると、食料の安全や安定供給が失われたり、農業や酪農の従事者の生活が脅かされたり、適切な医療を受けられなくなったりする可能性があると主張。さらに、秘密交渉であることが「知る権利」を侵害していると批判した。
山田氏は、政府がTPP交渉参加を表明して以降、一貫して反対姿勢を示してきたと説明。「TPP交渉は、農業だけではなく21分野にわたる。秘密交渉のまま合意されれば、国民の生活、国のかたちを変えてしまう」と危険性を強調した。
TPP批判が展開される中、質疑応答の時間では、会見場に来ていたバーレーンのハリール・ハッサン駐日大使が質問に立った。
ハッサン大使は「グローバル企業に対抗するため、各国はローカルな法律で戦っているが、考え方を変える時期なのではないか」「グローバル企業に戦うために、グローバルな法体系を整備しなければ、拡大する格差問題を解決できないのではないか」と疑問を投げかけた。
これに対して、山田氏は「グローバリゼーションでは解決できないもの、市場原理主義では解決できないもの、たとえば、医療や教育、食料などの問題を大事にしないといけなければならないと考えている。私としては、グローバリゼーションに対するローカリゼーションは非常に大切だと思っている」と答え、考え方の違いが浮き彫りになった。
(弁護士ドットコムニュース)