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妻が「嵐命のジャニヲタ」で自分に関心を持ってくれない・・・離婚の理由になる?

2015年06月01日 11:01  弁護士ドットコム

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「うちの嫁がジャニーズオタクで嵐命。子無しで10年以上レスが続いて辛い・・・離婚するかなマジで」。インターネット上の無料掲示板に、こんな投稿があった。


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男性の妻は人気アイドル・嵐の大ファン。数年前までは夫婦で旅行に行くなど関係は良好だったが、妻は最近、嵐に夢中になるあまり、夫に全く関心を示さなくなったという。



10年以上もセックスレスが続いていることもあって、男性は離婚も考え始めた。「子どももいない夫婦が、男女の関係も、友達としての関係も何も無くなったら、一緒に暮らす意味なんてあるのか」と疑問を持っているようだ。



アイドルに夢中になって現実を忘れたいという妻の思いもあるだろう。しかし、妻に全く顧みられない夫の虚しさは、計り知れない。妻がアイドルに夢中になりすぎて夫に関心を示さないという事情は、離婚の理由になるのだろうか。加藤寛崇弁護士に聞いた。



●最後は夫の決断の問題


加藤弁護士が解説する。



「前提として、離婚は双方の合意さえあれば可能です。協議して、相手が応じれば理由がどうであるかを問わずに離婚できます。問題なのは、相手が拒否しても離婚したい場合に、離婚理由があるかどうかです。



離婚理由は民法770条に5つの要件が定められています。今回の場合は5つのうちの一つ、『婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』に当てはまるかどうかが問題となるでしょう。『婚姻関係が破綻している場合』とも言われます」



妻がアイドルに夢中で夫に全く関心を示さないというのは、「婚姻関係の破綻」と言えるのだろうか。



「家業をかえりみないほどで、『家庭の放置』という水準まで達していれば、婚姻関係の破綻と認められることもあります。しかし、『婚姻関係が破綻している場合』といっても、どういう場合が該当するのか、じつは明確ではありません」



定義があいまいということか。



「身も蓋もない言い方をすれば、裁判官から見て、離婚を認めるのが適当だと判断されるかどうかということになります。



本件で言えば、妻が夫に関心は向けないものの、家事はきちんとしているような場合、ただちに離婚まで認めるべきとは判断されにくいでしょう。



良い悪いは別として、愛情が薄れた夫婦は珍しくありません。私としては、愛情が完全に失われたのであれば離婚自体はただちに認めてもいいと思いますが、現実はそうはいかないでしょうね。



もっとも、ただちに離婚が認められない場合でも道はありますよ。別居した上で、何年間か経ても夫婦関係に修復の見込みがないようであれば、婚姻関係の破綻と評価されます。今回のケースでは、夫が不貞するなど、非があるような場合は別として、夫が決断して離婚に向けて動きさえすれば、どこかで離婚は認められるでしょう。ですから、最後は夫の決断の問題です」



加藤弁護士は、このように話していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
加藤 寛崇(かとう・ひろたか)弁護士
東京大学法学部卒。2008年弁護士登録(三重弁護士会)。労働者側で労働事件を扱うほか、離婚事件など家事事件も多数扱う。日本労働弁護団、東海労働弁護団に所属。
事務所名:三重合同法律事務所
事務所URL:http://miegodo.com/