ミシガン州ベルアイルパークで開催されているベライゾン・インディカー・シリーズ。30日に行われた第7戦決勝レースは、大雨のため47周でレースは終了。ピット戦略が功を奏したカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)がインディカー初勝利を挙げた。序盤トップを快走した佐藤琢磨(AJフォイト)だが、天候に翻弄され後退。11位でレースを終えた。
予選20番手からカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)が優勝した。後方スタートだったことが先ず幸いし、アンドレッティ・オートスポートの大胆な作戦、さらにはチームメイトより遅くしたピットタイミングも見事に当たった。そして、レース中に降り出した強い雨が彼に味方した。
レースは70周、もしくは最長2時間でゴールとされることがスタート前に決まっていたが、今日は47周を終えたところで赤旗が出され、そのままレース成立とされた。天候の回復が見込めず、コースコンディションの確保が難しく、ファンが安全にレース観戦を続けられない天候となったため、インディカーはレース再開を断念するしかなかったのだ。
インディカー・シリーズへのフル参戦を始めて2年目になるムニョス。コロンビア出身の23歳はキャリア初勝利をデトロイトで飾った。
2位はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)。8~9番手を走っていながらスリックタイヤに換えるためにピットへと飛び込む大胆な作戦に出た彼らは、トップグループがタイヤ交換のためにピットに向うと見事にトップに躍り出た。しかし、1回目のピットが早かったため、2回目のピットタイミングをムニョスより2周早くせざるを得なかった。
アンドレッティがピットインしてトップに立ったムニョスは、まだウエットコンディションになりきっていないコースをスリック装着でハードプッシュ。ピットでウエットタイヤに交換してコースに戻ると、アンドレッティの前に出ることに成功した。
エアロキット登場でロードコース用セッティングに苦しんで来ているアンドレッティ・オートスポートだが、今日のレース前に行われたプラクティスでハンドリングを向上させる事に成功。レースでは作戦のの大胆さ、天候を味方につける運の良さも大きかったが、マシンの速さも保ち続けることができていたために1-2フィニッシュを達成できた。
「雨で手に入った勝利なのは事実。しかし、これもレースだから、勝ちは勝ち」とムニョスは喜んだ。「今日はチームの策戦が素晴らしかった。1-2フィニッシュまでできて最高だ。もちろん、全ラップを戦っての勝利を飾りたかったけれど、今日はこれでよし。次は100パーセントのバトルを闘い抜いての勝利を挙げたいね」と彼は語った。
ホンダは今シーズン2勝目をシーズン初の1-2フィニッシュで記録した。天候とアンドレッティ・オートスポートの作戦力が大きく貢献してのものとなった。
3位はサイモン・ペジナウ(チーム・ペンスキー)。ペンスキーの4人の中でウエットコンディション下でのペースがいちばん悪かったが、タイヤ交換のタイミングが4人の中では最も良く、ペンスキー入りして初めての表彰台フィニッシュを達成した。ペジナウはデトロイトとの相性が良いようだ。インディカー初勝利は2013年のデトロイトでのレース2だった。
シリーズポイントはファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)がトップを保った。2番手のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)との差は11点に縮まっている。パワーは4位、モントーヤは10位だった。
「雨でレース前に立てていた作戦など、あったとしても完全に吹き飛んだ。トップ争いをしている身として、コースが乾いてきてもタイヤ交換のためにピットしてポジションを落とす選択はできなかった。イエローが出てタイヤを交換した。そのために順位を一度大きく落とすことになったが、そこから挽回して4位になれた。雨でレースが短縮されたのは結果的にプラスに働いた。あと1~2周でピットする予定になっていたから」とパワー。
モントーヤは、「今日のようなレースは、文句を言わずに結果を受け入れるしかない。ドライバーとすれば、天候は良くても悪くても安定していて欲しい。今日はそうなっていなかった。僕らは早めに最後のピットストップを行っていたので、その後の雨は不要だった。グリーンが続けば上位陣がピットして僕らは順位を大きく挽回できるはずだったのに。それもまたレースだから仕方ない」と諦め顔だった。
佐藤琢磨は予選4番手からペンスキー勢3人をパスしてトップに立ち、14周目までレースをリードした。しかし、イエローでタイヤ交換を行ったことで8番手まで後退。その後にジョセフ・ニューガーデン(CFHレーシング)と接触してフロントウイングを壊し、さらに後退。そこからポジションを上げていく戦いを見せていたが、赤旗が出る少し前にピットしていたこともマイナスに働き、1ラップ遅れの11位となった。
第8戦となるレース2は、31日の午前中に予選が行われ、午後に決勝レースを迎える予定だ。
(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)