2015年05月28日 21:51 弁護士ドットコム
給料を半分にして、記者職から倉庫管理業務に配置転換する――。そんな提示条件に応じなかった米通信社ブルームバーグの東京支局の日本人男性記者(53)が、「業務命令」を拒否したなどとして、会社から解雇を言い渡された。この解雇通告は有効か否かが争われた裁判の判決が、5月28日に東京地裁であった。
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鷹野旭裁判官は「会社側の提案は、それ以前におこなった『解雇』を撤回する条件であり、業務命令権を行使したものとはいえない」「男性が提案に応じる法的義務はない」などとして、解雇を無効とする判決を下した。
男性は、ブルームバーグ東京支局に記者として勤務していた2010年8月、「ノルマを達成できなかった」として解雇された。男性は2011年3月、「解雇無効」を求めて提訴し、一審の東京地裁で勝訴した。会社側は控訴したが、高裁は2013年4月に棄却した。会社側が上告しなかったため、解雇無効が確定した。
ところが、会社側はこの高裁判決に先がける2013年1月、復職の条件として「(1)給料半減(2)バックオフィス業務への配転」を男性に提示。男性が拒否したところ、2度目となる解雇を通知したうえで、同年7月に「雇用契約」がないことの確認を求める訴訟を東京地裁に起こした。今回の判決は、この2回目の訴訟に対するものだ。
この日の判決後、男性は東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開き、「今回の裁判は、一度裁判で解雇無効が確定したのに、会社側が復職させないために、無理やり起こしたものだと理解している。勝訴は当然だと思う」と述べた。
そのうえで、「復職させないという会社の姿勢が間違っている。日本の労働制度では、そんなことは簡単にできないということを素直に認めて、謝罪してほしい。控訴せずに、元の職に戻してもらいたい」と強い口調で語っていた。
(弁護士ドットコムニュース)